古賀太『ヌーヴェル・バーグ』(集英社新書)を読む。ヌーヴェル・バーグとは戦後フランスで起こった映画の新しい波で、ゴダール、トリュフォーなどに代表される。そのほか、クロード・シャブロルやアラン・レネ、エリック・ロメールなど数多くの映画監督たちがいた。ヌーヴェル・バーグはヨーロッパ各国に影響し、日本でも大島渚や吉田喜重、篠田正浩などもそう呼ばれた。
古賀は本書でフランスのヌーヴェル・バーグを詳しく扱い、またその影響を世界各国に広く探っている。それはヨーロッパ各国に留まらず、日本はもちろん旧共産圏からアメリカ大陸にまで及んでいる。索引を見れば膨大な名前と映画のタイトルが並んでいる。800本の作品が紹介されているという。
そんなにも多くの映画監督に言及しているので、個々の監督についてはどうしても簡略に触れるしかない。新書という小さな本だから仕方がないのだが、もっと大きな本でたっぷり書いてほしかった気もする。
ヌーヴェル・バーグについて古賀は書く。
……結局N・V(ヌーヴェル・バーグ)の精神とは、「自分の生きている時代の真実を見せる」ということに集約されるのではないだろうか。戦争などによって時代が変わり、これまでの映画が今の自分の世界を表していないと感じた若い映画監督が、新しいリアリティを構築する。そのためにこれまでにない撮り方や演出や展開を開発する。その意味ではN・Vの精神を持った映画はフランスに限らず、世界各地に存在すると言えるだろう。あるいは、時代をも問わないのではないか。
第6章が「日本におけるヌーヴェル・バーグ」で、これが良かった。大島渚、吉田喜重、篠田正浩のほか、増村保造と中平康、川島雄三と今村昌平、そしてドキュメンタリー監督の土本典昭と小川紳介が取り上げられている。
とても優れたヌーヴェル・バーグを紹介する本だった。これを参考にまた映画館に行ってみよう。
