カンアオイ(寒葵)が咲いている

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 近所の小さな植物公園でカンアオイ(寒葵)が咲いている。およそ被子植物中もっとも地味な花のひとつではないか。カンアオイウマノスズクサ科、常緑性多年草で日陰の林内に生育する。Wikipediaを参照すれば、カンアオイ属の花粉媒介はカタツムリやナメクジ、ワラジムシやヤスデが関わっているとの説もあるという。同じく形態としては、

 小型の多年草。茎は短く、地面を匍匐する。葉は互生、卵形~卵状楕円形で、先端は尖り、基部は心脚、長さ6-10cm、幅4-7cm、濃緑色で白い斑紋がある。
花期は秋季(10-11月)で地面に接して咲く。花のように見えるのは花弁ではなく3枚の萼片である。萼片は基部で癒着し萼筒を形成する。萼筒は先がくびれず、直径2cm、長さ1cm程度で、暗紫色、内側に格子状の隆起線がある。萼筒の先端の萼裂片は三角形で萼筒よりも短く、濁った黄色。雄蕊は12本、雌蕊は6本。芳香がある。染色体数は2n=24。

  と書かれている。また分布の拡大についても「成長が遅いため生息範囲が広がりにくく、(中略)前川文夫は生息範囲の移動速度を「1万年で1km」と見積もっている」と言う。これが本当なら1年間に10cmということだ。すると10年で1mになり、銀座の1丁目から8丁目の端まで進むのに1万年かかるということになる。
 しかし、何と言ってもカンアオイで特筆すべきことはギフチョウの食草ということだろう。ギフチョウは「春の女神」と呼ばれている華やかなチョウだ。その幼虫がカンアオイを食べて育っている。それで連想するのが宝井其角の句「あの声で蜥蜴(トカゲ)食らうか時鳥(ホトトギス)」。人は見かけによらないという意味だが、美しいギフチョウも美声のホトトギスも悪食なのだった。
 ネットで検索したら、村上鬼城カンアオイを詠んだ句があった。

 

軒 下 の 日 に 咲 き に け り 寒 葵

 

 私の駄句、

寒 葵 誰 も お ま え に 気 づ か な い
寒 葵 花 の 奥 に は 闇 が あ る
寒 葵 い つ も 静 か に 夜 が 来 る
寒 葵 施 設 で 母 が 待 っ て い る
寒 葵 や っ と あ な た に 会 え た 午 後
寒 葵 い ち ど は 舌 を 入 れ た こ と