藍画廊の倉本麻弓展を見る

 東京銀座の藍画廊で倉本麻弓展が開かれている(2月2日まで)。倉本は2001年からガレリアラセンやモリスギャラリーなどで個展を行っている。ほかにギャラリーJinや武蔵野美術大学でも個展をやっている。
 今回、画廊内の周囲の壁面に小さな黒い箱が設置されている。最初の壁面にメモが貼られている。

 

作品について


私は睡眠中に見た夢を箱の中に立体的に再現する作品を制作しています。
黄ボール素材の箱作品には時々行き来する夢の中のまちの世界が入っています。
初めは点在していた一つ一つの夢は、追いかけられる夢や散歩する夢によって繋がり、地図に描けるようになりました。
子供時代から20代前半くらいまでは「まちの夢」と「通常の夢」が区別できていましたが、だんだんと区別が曖昧になってきています。
「まちの夢」なのかわからない夢と「通常の夢」は黒い箱の中に制作しています。
また、制作した後で夢の詳細を思い出したり記憶が変わったり印象的な場面が変わることや、時を置いて同じ夢を制作することもあります。

 

 ・箱の中の黒い人は私自身です。
・箱の蓋の内側には、夢の中の天気や天井を描いています。
・側面の丸い穴は、そこから覗くと自分の視線になるよう開けたものです。(例外あり)
・その他の四角い穴等は、出入り口です。
・記憶の濃さに応じて絵の具を水で薄めたり、色味を鈍くしています。
・箱の中は私の頭の中です。
・制作中に見るのは夢日記のみです。

  作品を見ていく。いずれも作品のそばにメモが置かれている。

 

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「電車/広いトイレ」2.5×11×11 制作年2013
電車の中の広いトイレ。和式。女子トイレ。
入ると便器のそばにトイレットペーパーが無くて、壁際に置いてあるトイレットペーパーを2つ取って便器にしゃがむ。
周りに人は10人くらい居るけど並んではいない。
私を待っている。そばにもう一つ便器があるけど、トイレットペーパーが無いからか誰も行かれない。
はじめは何も恥ずかしくなかったけれど、人が増えてきて恥ずかしくなる。
2002/8/17の夢より

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  「トイレ/小鳥」4×4×4 制作年2018
飛行機が鳥まみれ。鳥に襲われている。
トイレに入ろうとしたら小鳥の巣があって襲われる。
2015/1/6の夢より

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 「建物内/鳥たち」5×15×15 制作年2018
建物の中も外も鳥かごだらけで中に鳥たちがいる。
室内は大型インコ。外は鳩。
立入禁止区内は人がたくさん死んでいて、鳥たちがその死体の肉を食べている。
2015/7/1の夢より

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 「教室/菊」5×10×10 制作年2013
クリスマスパーティーのため教室のようなところに行く。
各机に色々なフラワーアレンジが飾ってある。
色鮮やかな花の席に座りたかったけど空いていない。
いつの間にか最前列の真ん中に机が用意されていてそこに座る。
その机には地味な一色の菊のアレンジ。灰みのうす黄色。
2013/12/2の夢より

 

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「トイレ/悪い気持ち」3/7/5 制作年2013
トイレの個室前の洗面のある部屋に1つ和式トイレがあり、入口の鍵をかけてそこでトイレをしていると、1つ空いている個室がある事に気づく。
ここに次の人を入れるためには鍵を開けなければならないが、開けないでそのままトイレする。
時間がかかって待たせている事にちょっと悪い気がしている。
2013/4/15の夢より

 

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 「すずめ駅/藍画廊」2×7×4 制作年2019
渋谷にすずめ駅がある。
すずめの住所に惹かれていて、この辺りに住めたら良いな―と思い物件を見ながら歩いているとすぐに藍画廊を見つける。
倉品さんがいる。
私「こんな近くに?」
2018/4/5の夢より

  ついに藍画廊とオーナーの倉品さんも登場した。

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倉本麻弓

2019年1月28日(月)-2月2日(土)

11:30-19:00(最終日18:00まで)

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藍画廊

東京都中央区銀座1-5-2 西勢ビル3階

電話03-3567-8777

http://igallery.sakura.ne.jp/