近美の山田正亮展を見る



 東京国立近代美術館山田正亮展が開かれている(2月12日まで)。山田は1929年生まれ、2010年にがんで亡くなっている。
 山田といえばとにかくストライプ。初期の静物画を別にしてひたすらストライプばかり描いてきた。おもしろいのは初期の静物画と30歳過ぎで制作を始めたストライプの作品の色彩が同じことだ。緑や褐色のあまりきれいではない色を使っている。画家には固有の色彩があるようだが、これらが山田の色彩ということなのだろう。
 ストライプの作風の前に一時期矩形の色面を重ねる作品を作ってもいた。それはジョセフ・アルバースの影響を受けたのかもしれない。晩年はストライプから正方形の色面の並置に移り、その後「筆のストロークを強調した、動きを感じさせるものにとってかわられ、かなり大型のキャンバスが使われるようになります」と美術館の案内文にあるように変わった。最後は画面を1色で塗りつぶしたような作品を描いている。
 その山田の代表作といえる一面にストライプの作品が並べられた壁面を見ていると、自分で選んだ作風ではありながら、何だか虚しい袋小路へ入ってしまったものだという感慨が浮かんでしまう。
 似た作風の抽象作品を濫作した難波田龍起以上に貧しい作家だったのではないだろうか。
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「画家(かいぶつ)が、いた」 endless 山田正亮の絵画
2016年12月6日−2017年2月12日
10:00−17:00(金曜日は20:00まで)、月曜日休館
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東京国立近代美術館
ハローダイヤル 03-5777-8600
http://www.momat.go.jp