ギャラリーカメリアの寺田彩乃・石川奈津美展がおもしろい

 東京銀座のギャラリーカメリアで寺田彩乃・石川奈津美展が開かれている(2月28日まで)。
 寺田は1991年茨城県生まれ、2012年に女子美術大学短期大学部を卒業し、2014年に女子美術大学芸術学部立体アート専攻を卒業している。行動展などに入選しているが、ギャラリーでの2人展は初めて。和紙で作った立体作品を展示している。
 石川は1991年岩手県生まれ、寺田と同じく2012年に女子美術大学短期大学部を卒業し、2014年に女子美術大学芸術学部立体アート専攻を卒業している。石川は金属の立体作品を展示している。寺田同様ギャラリーでの2人展は初めて。この2人の展示が揃って良かった。



 まず寺田の作品。和紙を使って不思議な造形を作っている。ひと目見てその造形の完成度の高さに驚いた。壁には小品が展示してあったが、それらはあまり面白くなかった。ファイルを見せてもらうと行動展に入選した作品の写真があった。それも特に良いとは思えなかった。寺田は写真だから分かりにくいんですよと言うが、過去の作品と比べて展示されている作品はひと皮剥けている。こんなに高い完成度の作品が突然現れたかのようだ。おそらく寺田の造形感覚が優れているのだろう。



 ギャラリーカメリアは2室に分かれている。隣の部屋の床に1メートル以上ある金属の立体が置かれていた。ドーム状の屋根の下に柱が立っているような形状が4つ繋がっている。これがシンプルでしかも美しさがある。静かな存在感が漂っている。私の一番好きな吉田哲也の作品をふと連想した。石川はこのほか小品が何点か展示してあった。それらの小品もみな良かった。ただほんのほんの少し物足りない感じがしたのも事実だったが。
 彼女らのように2人展で2人とも水準が高いのは珍しい。たいていどちらかが良いか、どちらも良くないことが多いのに。女子美術大学からは優れた立体作家が輩出している印象がある。名伯楽がいるのだろうか。
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寺田彩乃・石川奈津美展 「fiber × metal」
2016年2月23日(火)−2月28日(日)
13:00−19:00(最終日18:00まで)
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ギャラリーカメリア
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル 5階502号室
http://www.gallerycamellia.jp/
奥野ビルは昭和初期に建てられた古いビルで、巷房など画廊が十数軒入っている名物ビル