東京銀座の藍画廊で立原真理子展「すきまとおく/広縁」が開かれている(4月8日まで)。立原は茨城県生まれ、2006年に女子美術大学芸術学部洋画専攻を卒業し、2008年に東京芸術大学大学院美術研究科修士課程を修了している。2007年に銀座のフタバ画廊で初個展を開き、その後2012年に巷房2と階段下で、2013年に藍画廊、2014年にHasu no hanaと藍画廊、2015年にPicaresqueギャラリー、2020年に藍画廊、2022年に小島びじゅつ室で個展を開いている。2020年にはVOCA展にも選ばれている。
立原はここ何年かは既存の窓枠や障子、蚊帳などを使って、それにいわば刺繍に近い方法で風景などを描いている。今回は障子に椅子とテーブルのインスタレーションだ。椅子とテーブルは旅館のそれを意識しているらしい。旅館の部屋の広縁のようなところに置いてある椅子とテーブル、その横に2枚の障子が建てられている。障子には紙が貼られていない。桟に糸が巻かれている。
壁に刺繍の方法で描いた作品が展示されているが、それがいわば今回のインスタレーションのドローイングを成していて、旅館の椅子とテーブルの風景を描いている。旅館の広縁を刺繍の方法でドローイングし、それを立体化してインスタレーションにしたということだろうか。以前も書いたことだが、立原は現実空間の中に作品を成立させることで、作品を取り囲む現実空間も取り込んだものを併せて「作品」としているのではないか。
立原の不思議な作品は、安易な解釈を許さない。
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立原真理子展「すきまとおく/広縁」
2023ン円4月3日(月)-4月8日(土)
11:30-19:00(最終日18:00まで)
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藍画廊
東京都中央区銀座1-5-2 西勢ビル3階
電話03-3567-8777