東京銀座の銀座ニコンサロンで中筋純写真展が開かれている(2月16日まで)。中筋は1966年和歌山県生まれ。東京外国語大学を卒業後、出版社勤務を経て中筋写真事務所を設立。雑誌、広告写真と平行して日本の産業遺構を撮影。2007年に訪問したチェルノブイリ原発に衝撃を受け、その後数々の作品を発表。2011年以降、福島浜通り地区の移り変わる姿を記録し続けている。2009年以降、キャノンギャラリーやニコンサロン等々で個展を開いている。写真集も『廃墟チェルノブイリ』(二見書房)を始め何冊も発表し、共著も多い。
本展では福島の写真とチェルノブイリの写真を上下2段に並べて展示している。それらの写真が問題点を的確に表現していながら、一方で不謹慎だがとても美しい。写真はパノラマのように極めて横に長い。一番長い作品は左右7mもある。こんな写真をどうやって撮影したのか問うと、少しづつ横移動し、そのデータを合成したのだという。見事な技術だ。写真のテーマともども圧倒されて見てきた。
上はチェルノブイリ原発の作業員とその家族が住んでいたプリビチア市の雪景色。事故翌日に避難命令が出て、約45,000人の住民がこの街を去った。付近の村々も合計すると135,000人が避難した。福島事故の避難者(145,000仁)に禁じするのは偶然か?
(写真下)……福島県富岡町の仏浜は原発事故と津波により壊滅的被害を受けた。4年経ってかつての水田地帯は除染で産まれた放射性廃棄物の仮置き場となっている。「廃棄物」と言えど、中身はかけがえのない個人財産や、この地の歴史を記憶する田畠の土だ。積み上げられるフレコンバッグの姿は仏の螺髪(らはつ)に見えた。
スパーマーケットの陳列台。4年半の歴史を刻んだ雑誌の数々。
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中筋純写真展「The Street View.」
2016年2月3日(水)−2月16日(火)
10:30−18:30(最終日は15:00まで)
6日、7日休館
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銀座ニコンサロン
東京都中央区銀座7-10-1
電話03-5537-1469
http://www.nikon-image.com/activity/salon/