東京銀座の巷房2で秦俊也展「CALENDRIER II」が開かれている(2月20日まで)。秦は1954年生まれ。若い頃は新制作展や埼玉近代美術館野外展などに参加し、1991年から94年にかけて銀座のなびす画廊で個展を行っていた。1996年からはモンゴル語の翻訳を行っている。昨年10月には日本橋小伝馬町のJINENギャラリーで個展を開いたばかりだ。それをこのブログで紹介した。そのときの文を再録する。
今回の展示はフランスやオランダの古い本を使ったもの。本の背を外し、小口に近い方に穴を開けてビス留めしている。本とビス留めというある種ミスマッチな組合せ。不思議な造形だが、魅力的な形でもある。表に現れたページの読むことのできる文字を日本語に翻訳して題名としている。本の中に鉄板が入っているものもある。これは何かと訊くと、歴史には氷河時代もあったからという答えだった。すると、これらの本は歴史の暗喩なのか。
巷房2の隣には巷房階段下というスペースがある。ここに不思議なオブジェが展示されていた。これは何かと問うと、フランスの雑誌『ELLE』のモノクロページのみを接着剤で厚く貼り合わせ、それをグラインダーで削りだしたものだという。等高線のような形が見えている。面白い試みだと思った。
4カ月で2回の個展とは60歳を超えているのに意欲的だ。もっとも展示準備中に足を怪我してしまったと松葉杖を使っていたが。
・秦俊也展-CALENDRIER-が興味深い(2015年10月16日)
巷房が入っている奥野ビルは昭和2年建設の歴史的な建物だ。エレベーターもあるが、手動式の古いタイプだ。一度体験するのも面白いだろう。
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秦俊也展「CALENDRIER II」
2016年2月8日(月)〜2月20日(土)
12:00〜19:00(最終日は17:00まで)日曜休廊
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巷房2および巷房階段下
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビルB1
電話03-3567-8727
http://gallerykobo.web.fc2.com/