ギャラリーJIKKAの多田圭佑展を見る


 東京千代田区外神田のギャラリーJIKKAで多田圭佑展が開かれている(7月30日まで)。多田は1986年名古屋市生まれ、2010年に愛知県立芸術大学油画専攻を卒業し、2012年に同大学美術研究科博士前期課程を修了している。2007年名古屋造形大学で初個展、その後名古屋市内のギャラリーで個展を開いてきた。




 壁面に古材の板壁の一部が展示されていて、そこに印刷物やシールが貼られている。そう思ったが、作家の説明を聞いて驚いた。古材の板壁と見えたのは、多田が描いたものだという。実際の板壁から型を取り、樹脂を流し込んで成型する。その段階では表面は白くエッジも甘い。エッジに手を加えて実物に近づけ、彩色している。そう説明されてもほとんど本物そっくりで信じがたいほどだった。作家から説明を受けなければ、古材の板壁に抽象的な図を描いただけと早合点して見終わっていただろう。片隅に塗り残しを作るなどして読み解くためのヒントを与えてくれる方がいいのではないか。なお、理にリノリウムのような化粧板にシールを描いた作品もあった。これも同様に描いているという。
 さて、このギャラリーJIKKAは多田の展示を最後に閉廊し、来月からは電気屋になってしまうという。
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多田圭佑展「EXISTENCE」
2015年7月4日(土)−7月30日(木)
11:00−19:00(火曜日休廊)
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ギャラリーJIKKA
東京都千代田区外神田3-6-14 深野ビル1階
地下鉄銀座線末広町駅から蔵前橋通りを西へ200mほど進み、モミジの手前の細い道を左折、突き当たりの芳林公園手前の右側。