ギャラリーOUT of PLACEの西川茂展を見る

 東京秋葉原(外神田)のギャラリーOUT of PLACEで西川茂展が開かれている(6月7日まで)。西川は1977年岐阜県生まれ、近畿大学理工学部土木工学科を中退し、2002年に大阪芸術大学付属大阪美術専門学校芸術研究科絵画コースを修了している。2003年から大阪を中心に関西方面で個展を繰り返し、ここOUT of PLACEでは3回目の個展となる。
 画廊正面の壁に大きな作品が展示されている。ひと目見てオリンピックのために作られた東京国立競技場を描いたものだと分かった。ただ背景に見えるのは最初採用され、のちに取り消されたザハ・ハディドのデザインだ。そして手前の隈研吾の建物は建築中の姿のようだ。

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(上の作品の部分)


 西川は建築中や解体中の足場が組まれシートで覆われた建物を描いている。背景を平坦に塗りつぶし、中央にシートで覆われた建物を大胆な筆触で描いていく。その筆触の荒々しさはイメージの喚起を拒否する寸前にまで達している。高橋大輔や品川はるかは筆触だけ、あるいは絵具の物質性だけで作品を構成している。西川も一見それに近く見えるが、西川の筆触は絵具の物質性を追求するのが目的に見せながら、ぎりぎりのところでイメージを生み出している。

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 優れた仕事だと思う。指導を受けた先生からは、具象的なものを削ぎ落していって抽象に向かうようにと言われたようだが、この路線こそユニークで面白いのだから、迷わずこのまま進んでいってほしい。
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西川茂
2020年5月26日(火)―6月7日(日)
12:00-19:00(月・火・水 休廊)
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ギャラリーOUT of PLACE
東京都千代田区外神田6-11-14  3331アーツ千代田207号
電話03-6803-0248
http://www.outofplace.jp/