eitoeikoの「天覧美術」を見る

 新宿区神楽坂のeitoeikoで「天覧美術」が開かれている(6月20日まで)。これがとても過激で興味深い。キュレーターは作家としても参加している岡本光博、そのプレスリリースを引用する。

KUNST ARZTでは、VvK(アーティスト・キュレーション)展覧会の27回目として、岡本光博キュレーションによる「天覧美術 / ART with Emperor」展を開催します。
「令和」という新しい時代を迎え、改めて天皇制を考察する企画です。
流麗なイケメン日本画で知られる木村了子は、独自のリサーチから、禁断のタブーをモチーフにした「菊福図」の最新バージョンを、 通奏低音として天皇制と対峙し続ける小泉明郎は、情念と鬱積した想いがあふれ出す初期の映像作品を、 孤高の細密描写表現者として知られる鴫剛は、本展の為に新たに彩度調整を施した「ピンクの国会議事堂」と米軍と共存する一場面を、 人体、地球の構成成分、文明の礎・・・鉄という素材の本質を考察する藤井健仁は「昭和」「平成」という時代を映し出す二人の首を叩き出し、 そして、本展キュレーターでもある岡本光博は、「世継ぎと金継ぎ」を掛けた新作と「あいちトリエンナーレ<表現の不自由展>」を受けて、改めて隣国との関係性(ルーツ・・・)も考察した新作を発表します。 SNSによる一億総監視状態の不寛容な現代だからこそ、あえてアートとしての可能性を問いたいと考えています。
本展は、5月22日~31日に御所編をKUNST ARZTにて開催し、その後、皇居編を6月2日~20日にeitoeikoに巡回します。
               (KUNST ARZT 岡本光博)

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木村了子「菊福図」:閘門を隠語で菊座と呼ぶが、それを菊の紋に掛けている。大江健三郎の『われらの時代』に「菊比古は女のパンツ履いている、季題は菊です」というのがあったのを思い出した。菊比古はオカマなのだった。

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木村了子「菊の皇子様」:むかし御真影掲示した高い位置に展示してある。

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鴫剛「ピンクの国会議事堂」

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鴫剛「ヘリコプター」

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岡本光博「キンつぎ」:さまざまな信楽焼の狸の金玉部分からかたどりした陶器の破片を金継ぎして大きな玉を作っている。

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岡本光博「キンぱい」:恩賜の金杯には菊の紋が刻まれている。盃をパイと読むことをおっぱいに掛けている。

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岡本光博『表現の自由の机2』:慰安婦像の肩に止まっている小鳥を型取りしたもの。非接触の3Dカメラで撮り、3Dプリントしたもの。(写真は画廊のHPから借用した)

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藤井健仁「SA」と「H」:昭和を代表すると作家が考える2人を鉄で叩き出して制作した。銅と違い鉄は硬いので製作は大変だという。

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「天覧美術」
2020年6月2日(火)―6月20日(土)
12:00-19:00(日月休み)
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eitoeiko
東京都新宿区矢来町32-2
電話03-6873-3830
http://www.eitoeiko.com
地下鉄東西線神楽坂駅矢来口より徒歩5分