東京神田のギャラリーN神田社宅で田中藍衣展「ペイルブルードット」が開かれている(7月17日まで)。田中は1992年愛知県生まれ、2014年愛知県立芸術大学美術学部日本画専攻卒業、2016年同大学博士前期課程油画・版画領域修了。2016年に名古屋のギャラリーNで初個展、東京での個展は初めてになる。
田中は紙に岩絵具で描いている。表面にレリーフのような凹凸を感じさせるが、きわめて巧妙に描いたものだ。また仕上げがとても素晴らしく、手のきれいさは女性の仕事を思わせる。
障子の桟のように見えるのもすべて描いたもの。ちょっと騙し絵のように桟状の上の線を途切れさせている。版画を研究していたせいか線の表現がきれいだ。田中は抽象作品を描いているが、その造形が恣意的ではなく、かといって計算されたものというのでもなく、ごく自然に出来上がっているように見える。そんなことはないのだが、完成度の高さがそんな印象を与えるのだろうか。
エレベーターホールに展示されている逆V字型の作品が、20年以上前にフジテレビギャラリーで見たニューヨーク在住の蟻田哲を思い出した。
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田中藍衣展「ペイルブルードット」
2021年7月3日(土)―7月17日(土)
13:00-20:00(日月祝 休廊)
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gallery N 神田社宅
電話080-3060-7809
※JR神田駅東口から徒歩2分
東京メトロ銀座線神田駅1番出口から徒歩2分