奥本大三郎『ランボーはなぜ詩を棄てたのか』(インターナショナル新書)を読む。ランボーの詩を棄ててアフリカへ行くまでの半生を、ランボーの詩や手紙など、その詩が生まれる背景を詳しく解説しながら語ってくれる。さらに「イリュミナシオン」を分析し、この難解な詩を読み解いてくれる。
ランボーの詩がとても分かりやすく、今までになく理解することができたと思う。ランボーの詩に当時彼が体験していたハシッシの影響を具体的に指摘している。私も50年前に一度だけ吸ったことのあるハシッシの体験を思い出した。
奥本大三郎の訳で「地獄の一季節」を読んでみたい。ランボーは詩を棄てアフリカで武器商人になって、腫瘍のため帰国して足も切断して亡くなったが、その影響は遠い日本にも及び、小林秀雄から中原中也、戦後では辻邦生もランボーを主人公にした短篇「献身」を書いている。辻の短篇集『城・夜』(河出書房)に収録されていたが、中公文庫『辻邦生全短篇 1』に収録されているようだ。何人もの翻訳者による翻訳も出版されている。私も小林秀雄や中原中也、粟津則雄の訳を持っている。奥本の解釈を参照しながらランボーを読み直してみよう。