ギャラリー58の自画像展を見る


 東京銀座4丁目のギャラリー58で「自画像★2012」が開かれている(10月20日まで)。副題が「9人の美術家による新作自画像と小品展」。参加している画家は9人。石内都を除いてみな70歳を超えている。いわば大御所たちだ。
 50音順に、赤瀬川原平秋山祐徳太子池田龍雄石内都、篠原有司男、田中信太郎、中西夏之中村宏、吉野辰海。
 最も印象に残ったのが赤瀬川原平の自画像、脳血栓か何かで入院し頭のレントゲン写真を撮られた。右斜め後ろから撮られたX線写真、その頭蓋骨の写真をもとに鉛筆で描き起こしている。右奥歯に入れられた金属に反応して写真にハレーションが入っている。それがこの作品の題名「ハレーション」。さらに赤瀬川はその頭蓋骨の鉛筆画をもとに肉付けし、斜め後ろから見た赤瀬川の自画像をやはり鉛筆で描いている。これがすばらしかった。X線写真をもとに鉛筆で起こした作品がどうしてこんなに良いのだろう。鉛筆の線の美しさなんだろうか。
 中西夏之は写真を撮っている。若い頃の有名な洗濯挟みの作品の洗濯挟みを自分の服にたくさん挟み、その自分の姿を撮って、さらに写真にパンチして丸い穴をいくつも開けている。
 中村宏は最近のテーマである黄色と黒の道路工事の標識に自画像を重ねている。小品は昔懐かしい女学生の後ろ姿だ。もうこんな感じの女学生は田舎に行ってもいないのじゃないだろうか。時代とそれへのノスタルジーを感じる。
 吉野辰海がいつものねじれた犬の彫刻を出品し、秋山祐徳太子はブリキの自画像を作っている。この秋山の彫刻作品が良かった。
 池田龍雄はちらしに掲載された自画像。自分の赤ん坊の頃の写真をコラージュし、84歳の最近の姿と重ねている。その左隣が石内都の写真。
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「自画像★2012」
2012年10月1日(月)−10月20日(土)
12:00−19:00(最終日17:00まで)日曜休廊
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ギャラリー58
東京都中央区銀座4-4-13 琉映ビル4F
電話03-3561-9177
http://www.gallery-58.com