カミュ『幸福な死』(新潮文庫)を読む。本書はカミュ死後に出版されたもの。カミュの初期の長編小説で、カミュ自身は出版する予定はなかったと思われる。カミュは『異邦人』や『ペスト』、『シーシュポスの神話』などで人気を集め、44歳でノーベル文学賞を受賞した。しかし46歳で自動車事故で亡くなる。
若くして事故死したので作品数は多くない。読者はカミュの作品を読みたがり、出版社もより多くの作品を売りたがったのだろう。
カミュ自身が出版を予定していなかったこともあり、完成度は高くない。ストーリーはすっきりしないし、描写は冗長で、登場人物の造形もあいまいだ。もしこの作品が処女作として発表されていれば、カミュの評価は違っただろうし、私が出版社の編集者だったら、不採用として突き返していただろう。
当時サルトルと並び称されたが、『異邦人』も含め現在から見ればサルトルにははるかに及ばなかったと思う。
若い頃私が夢中になって何度も読んだのは『異邦人』だったのだが。
