東京上野桜木の櫻木画廊で酒井香奈展が開かれている(6月19日まで)。酒井は1969年茨城県生まれ、1992年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業、1994年同大学大学院造形研究科美術専攻油絵コースを修了している。2008年と2010年、2020、2021年年になつかで個展を開き、その他アートギャラリークローゼットや櫻木画廊、かわかみ画廊などで個展を開いている。
今回、青い作品と赤い作品が素晴らしかった。
昨年のギャラリーなつかでの個展のときの酒井のことば。
朝と夜、見えるか見えないかの色彩を何層も重ねる制作は昨日と今日、今日と明日をつなぐ、自分との文通のようである。朝の色彩に応える為に、夜、また新たな気持ちで画面に向かい、明日への問いかけをするように、絵の具を重ねていく。制作の間に、何かが見えかかっていても、次の日には、跡形もなく違う色彩で覆ってしまう事もある。
長い間やりとりした結果、最初に戻ってしまう事もある。昨日受け入れる事のできなかった色彩を今日は完成への手ごたえとして感じる事もある。そして明日はどう変化していくのだろうか。昨日、今日、明日、地図を持たない寄り道を楽しむような制作を今は心地よく感じている。
何度も塗り重ねられた酒井の作品、じっと見ていると、その試行錯誤の経緯が見えてくるようだ。
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酒井香奈展「いろをきく」
2022年6月8日(水)―6月19日(日)
11:00-18:30(最終日17:30まで)月・火休廊
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櫻木画廊
東京都台東区上野桜木2-15-1
電話03-3823-3018
https://www.facebook.com/SakuragiFineArts/
JR日暮里駅南口から谷中の墓地を通って徒歩10分
SCAI THE BATHHOUSEの前の交番横の路地を入って50mほどの左側