「DOMANI・明日展2015」を見て


 国立新美術館で「DOMANI・明日展2015」が開かれている(1月25日まで)。副題が「文化庁芸術家在外研修の成果」というもので、文化庁が「将来の芸術界を担う芸術家を支援するため、若手芸術家を海外に派遣し、その専門とする分野について研修の機会を提供する"新進芸術家海外研修制度"」の成果発表の場だ。海外で研修してきた12名の作家が取り上げられている。
 興味深かった4人の作家を紹介する。
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 写真家の北野謙、1968年東京都生まれ。同じ職業の人とか、趣味を共通する人とかの写真を撮り、顔を中心に20〜30人を重ねてプリントしている。その職業に共通する特徴らしきものが現れる写真表現をしている。2011年の東京都写真美術館での展示をこのブログで紹介したことがあった。

平和記念日に元安川で原爆慰霊の灯籠を流す人39人を重ねた肖像、2004年8月6日、広島市 元安川

日本のアニメのコスプレをする少女たち34人を重ねた肖像、2009年4月18日、台湾台北市コミケ ストリート上で
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 岩崎貴宏、1975年広島県生まれ。2種類の作品が展示されている。一つは雑巾と墨汁で作られたミニチュアの工場やガントリークレーンや火力発電所など。驚くのはクレーンなどの細い鋼材も雑巾の糸をほどいて作っている。


 もう一つは大きな木彫の寺社建築の再現。「リフレクション・モデル」と題し、水鏡に映った上下対称の形を一つに合体して制作している。

中央が瑠璃光寺五重塔、右が金閣、左が銀閣

金閣と奥に銀閣
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 青木克世、2000年に多摩美術大学大学院修了。セラミックできわめて複雑な形体を作っている。セラミックでここまで造形できるのか! という驚き。



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 濱田富貴、1972年横浜市生まれ。銅版画を作っている。京橋のギャラリーなつかで毎年個展を開いている。モチーフは植物の蕾のようでもあり、または未成熟な果実のようでもある。正方形の作品は縦横4枚ずつ、16枚の版を並べている大きなものだが、単純な図柄でありながらその大きな画面を完全にコントロールしている。


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 以前、北野謙を紹介したページ
東京都写真美術館の「写真の飛躍」展がおもしろい(2012年1月17日)
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『DOMANI・明日展
2014年12月13日(土)→2015年1月25日(日)
10:00〜18:00(金曜日は20:00まで)休館日は毎週火曜日
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新国立美術館
東京都港区六本木7-22-2
ハローダイヤル 03-5777-8600
http://www.nact.jp/
東京メトロ千代田線乃木坂駅、または日比谷線六本木駅および都営地下鉄大江戸線六本木駅から徒歩数分