芝居

西堂行人『[証言]日本のアングラ』を読む 

西堂行人『[証言]日本のアングラ』(作品社)を読む。副題が「演劇革命の旗手たち」といい、8人のアングラ演劇の中心的な関係者たちにインタビューしたもの。取り上げられているのは9人で、唐十郎、別役実、瓜生良介、佐藤信、太田省吾、蜷川幸雄、寺山…

アーサー・ミラー『転落の後に』を見る

アーサー・ミラー作の芝居『転落の後に』を見た。文学座付属演劇研究所研修科卒業発表会、演出は西川信廣、会場は文学座アトリエだった。 アーサー・ミラーの芝居は『セールスマンの死』の戯曲を読んだことがあるだけ、芝居を見るのは初めてだった。3時間の…

『つかこうへい正伝1968−1982』を読む

長谷川康夫『つかこうへい正伝1968−1982』(新潮社)を読む。550ページを超える分厚い伝記だ。ただ「1968−1982」となっているが、つかは1948年生まれで亡くなったのは2010年だった。長谷川はつかこうへいの芝居の出演者であり制作スタッフだった。つかより5…

ロルカの『血の婚礼』に感動した

新国立劇場でフェデリコ・ガルシーア・ロルカ作の芝居『血の婚礼』を見た。これは同劇場演劇研修所公演第9期生試演会で、役者はすべて新人たちだが演出は田中麻衣子が担当している。 ロルカはスペインの詩人、しかしスペイン内戦のため1936年に38歳で銃殺さ…

井上ひさし・作『少年口伝隊一九四五』が素晴らしい

井上ひさし・作『少年口伝隊一九四五』がとても良かった。演出が栗山民也、新国立劇場演劇研修所公演の朗読劇だ。私は8月15日のマチネーを見た。朗読劇なので、舞台の上に横1列で12人の役者が並んでいる。演劇研修所第9期生たちだ。音楽は後方にギターの宮…

井上ひさし『少年口伝隊一九四五』をお勧めします

井上ひさし作『少年口伝隊一九四五』が新国立劇場で上演される。(8月14日夜、15日と16日の昼)。演出が栗山民也、出演は新国立劇場演劇研修所の第9期生の研修生たち。もともとこの研修生のために井上が書いた朗読劇なのだ。それで毎年研修生によって上演…

新国立劇場のリーディング公演『スザンナ』を見る

新国立劇場小劇場のリーディング公演『スザンナ』を見た(5月26日)。脚本はノルウェーの劇作家ヨン・フォッセ、演出が宮田慶子、出演は青山眉子(年老いたスザンナ)、津田真澄(中年のスザンナ)、山崎薫(若いスザンナ)。『人形の家』の作者イプセンの…

平田オリザ『演劇入門』がとても良い

平田オリザ『演劇入門』(講談社現代新書)を読む。これがとても面白い本だった。初版が1998年だが、去年誰かが推薦していたので購入した。そのまま読まないで本棚に差してあった。その時点ですでに23刷だった。売れているらしい。 そして先月朝日新聞の書評…

観劇のすすめ

とても面白い芝居が上演されるので、おすすめしたい。一つはエドワード・ボンド作『大いなる平和』、もう一つは井上ひさし作『父と暮せば』で、どちらも見る価値が大いにあると思う。 まず『大いなる平和』について。座・高円寺という劇場があり、劇場創造ア…

アヌイの『アンチゴーヌ』を見る

先日、12日の夜、ジャン・アヌイ作『アンチゴーヌ』を見た。演出が栗山民也、新国立劇場演劇研修所公演で、第8期生修了公演だった。すばらしかった。アヌイはギリシャ悲劇ソフォクレスの『アンティゴネ』を翻案してこの芝居を書いている。 私は高校生の頃こ…

井上ひさし『きらめく星座』をブルーレイで見る

井上ひさし『きらめく星座』を先月紀伊国屋サザンシアターで見たが、とても良かった。昔テレビで放映した同じ芝居が録画してあったので、十数年ぶりに見直した。いまではブルーレイにダビングしてある。先日の舞台が3時間だったのに、少し省略してあるとかで…

こまつ座公演『きらめく星座』を見る

新宿紀伊國屋サザンシアターで井上ひさし・作『きらめく星座』(こまつ座公演)を見る。井上ひさしがほぼ30年前に書いた芝居。ちたしから、 時は太平洋戦争前夜昭和15年から16年の東京、浅草のレコード屋オデオン堂の家族と、広告文案家の下宿人は皆、音楽好…

井上ひさし・作『少年口伝隊一九四五』が素晴らしかった!

井上ひさし・作『少年口伝隊一九四五』がとても良かった。演出が栗山民也、新国立劇場演劇研修所公演の朗読劇だ。私は9月24日のソワレを見た。朗読劇なので、舞台の上に横1列で11人の役者が並んでいる。音楽は後方にギターの宮下祥子が座っていて、一人で演…

井上ひさし『少年口伝隊一九四五』の勧め

井上ひさし作『少年口伝隊一九四五』が新国立劇場で上演される。(9月23日と24日)。演出が栗山民也、出演は新国立劇場演劇研修所の第8期生の研修生たち。もともとこの研修生のために井上が書いた朗読劇なのだ。それで毎年研修生によって上演されている。…

座・高円寺レパートリー『リア』を見る

座・高円寺レパートリー『リア』を見た(6月6日)。シェイクスピア作『リア王』を脱構築したような『リア』。構成・演出が佐藤信、リアを女優の渡辺美佐子が演じ、植本潤と田中荘太郎の2人の男優がリアの3人の娘と道化などを演じる。 パンフレットに佐藤…

井上ひさし『父と暮せば』リーディング公演を見る

先の日曜日(4月27日)、井上ひさし『父と暮せば』のリーディング公演を新宿の無何有で見た。親八会主催の公演で、演出が藤井ごう、俳優が辻親八、渋谷はるか、昆野美和子。会場の無何有は客席数30の小さなスペース。リーディング公演というのは、朗読劇の…

新国立劇場ドラマスタジオ修了公演『9階の42号室』を見る

新国立劇場ドラマスタジオ第7期生修了公演『9階の42号室』を見る。作:飯沢匡、演出:栗山民也。新国立劇場演劇研究所で3年間学んだ研修生たちの修了公演だ。今回は日本の現代劇の喜劇が選ばれた。 研修生の芝居はこれでなかなか上手だし、演出も一流なの…

井上ひさし『化粧』を見る

井上ひさし作『化粧』を紀伊國屋ホールで見る。出演:平淑恵、演出:鵜山仁、こまつ座公演。そのちらしから、 さびれた芝居小屋の淋しい楽屋。 その楽屋に遠くから客入れの演歌が流れ込んでくるやいなや、大衆演劇女座長、五月洋子は、座員一同に檄を飛ばし…

サルトル『アルトナの幽閉者』を見る

サルトル作『アルトナの幽閉者』を見る。演出:上村聡史、翻訳:岩切正一郎。新国立劇場小ホール公演。 公演のちらしから、 (……)第二次世界大戦後のドイツを舞台に、戦時中の心の傷から13年も、自宅に引きこもったままの主人公フランツを軸に、「戦争」と…

エドワード・ボンド『戦争戯曲集・三部作』に圧倒される

座・高円寺の劇場創造アカデミー4期生終了上演『戦争戯曲集・三部作』に圧倒された。作者のエドワード・ボンドはイギリスの劇作家、「三部作」と題されたとおり、第一部『赤と黒と無知」、第二部『缶詰族』、第三部『大いなる平和』からなっている。これを…

清水邦夫の芝居『ぼくらは生まれ変わった木の葉のように』を見て

高校の時の親友が清水邦夫のファンだった。高校を卒業してしばらく経ってから、彼に勧められて清水の『狂人なおもて往生をとぐ』を読んだ。よく分からなかった。ついで清水の処女作『署名人』を読んだ。これまたなにが面白いかよく分からなかった。 初めて清…

井上ひさし『演劇ノート』を読む

井上ひさし『演劇ノート』(白水uブックス)を読む。劇作家の井上が、上演するたびに劇場で配布するパンフレットに書いたエッセイをまとめたもの。1969年のテアトル・エコーの『日本人のへそ』から1995年のこまつ座の『黙阿弥オペラ』まで36作品が収録されて…

山崎努『俳優のノート』を読んで

山崎努『俳優のノート』(文春文庫)を読む。一昨日、劇作家と演出家の対談を読んだ感想をアップしたが、次いで読んだのが俳優の書いたものだった。今まで劇作家や演出家に興味をもって芝居を見、関連する本を読んできたが、俳優に関するものを読んだのは初…

井上ひさし・平田オリザ『話し言葉の日本語』を読む

井上ひさし・平田オリザ『話し言葉の日本語』(新潮文庫)を読む。二人の劇作家が芝居を巡って対談したもの。いまはない『せりふの時代』という戯曲の専門雑誌に6年間にわたって連載したもの。平田オリザは劇作家であるとともに演出家でもある。芝居の言葉…

鴎座公演『VIVA DEATH』を見た

渋谷駅新南口近くのEDGEというスペースで行われた鴎座公演『VIVA DEATH』を見た。イギリスの劇作家サラ・ケインの戯曲を元にした芝居=ダンス=パフォーマンス作品。演出の川口智子のテキストによれば、 「核の惨劇」をテーマとするこの作品は、初稿こそ完成…

俳優座劇場プロデュース公演『もし、終電に乗り遅れたら…』を見る

俳優座劇場プロデュース公演『もし、終電に乗り遅れたら…』を俳優座劇場で見る。作=アレクサンドル・ヴァムピーロフ、演出=菊池准、出演=浅野雅博、小田伸泰、外山誠二、逢笠恵祐、若井なおみ、米倉紀之子ら。 戦後ソ連の劇作家ヴァムピーロフの戯曲。終…

鴎座公演『しあわせ日和』と『森の直前の夜』を見る

鴎座第II期上演活動4 『しあわせ日和』と『森の直前の夜』を中野のテルプシコールで見た。『しあわせ日和』はサミュエル・ベケットの台本、それを今回演出の佐藤信が大幅に改変して上演した。ベケットの台本は登場人物が2人、50歳くらいの女ウィニーと60歳…

新国立劇場小劇場の『少年口伝隊一九四五』を見る

新国立劇場小劇場の『少年口伝隊一九四五』を見る。井上ひさし作の広島への原爆投下を扱った芝居だ。演出が栗山民也、NNTドラマ・スタジオ(新国立劇場演劇研修所)の第7期生たちが演じているリーディング・ドラマ(朗読劇)だ。 俳優たちは舞台に1列に並…

アトリエ・ダンカン『しゃばけ』を見る

赤坂ACTシアターでアトリエ・ダンカン・プロデュースの芝居『しゃばけ』を見た。原作が畠中恵、脚本・演出が鄭義信、出演が沢村一樹、臼田あさ美、宇梶剛士、高橋光臣、阿知波悟美、麻美れいなどだ。 演出等を担当した鄭義信は2008年に脚本・演出を担当した…

座・高円寺の研修生修了上演『Great Peace』がすばらしい

座・高円寺の劇場創造アカデミー3期生修了上演『Great Peace』がすばらしい! 戯曲がイギリスの劇作家エドワード・ボンド、演出が2人で、佐藤信(Part1)と生田萬(Part2)、役者はアカデミーで2年間研修してきた3期生たちだ。3時間近い芝居が引き込ま…