井上ひさし『少年口伝隊一九四五』の勧め

 井上ひさし作『少年口伝隊一九四五』が新国立劇場で上演される。(9月23日と24日)。演出が栗山民也、出演は新国立劇場演劇研修所の第8期生の研修生たち。もともとこの研修生のために井上が書いた朗読劇なのだ。それで毎年研修生によって上演されている。これが無茶苦茶すばらしい。新国立劇場のHPから、

昭和20年8月6日、一発の原子爆弾が広島の上空で炸裂した。
一瞬にして広島は壊滅。このときから、漢字の広島は、カタカナのヒロシマになった。
かろうじて生き延びた英彦・正夫・勝利の三人の少年は、やはり運よく助かった花江の口利きで中國新聞社に口伝隊として雇われる。
新聞社も原爆で何もかも失ったため、ニュースは口頭で伝えるほかなかったからだ。
三人の少年は、人々にニュースを伝えながら、大人たちの身勝手な論理とこの世界の矛盾に気がついていく。
やがて敗戦。......そこへ戦後最大級の台風が広島を襲う。

 朗読劇なので、舞台に並んだ俳優たちが交替で台本を朗読していく。演技はほとんどない。井上の台詞の力だけで、8月原爆投下後のヒロシマが舞台に立ち現れてくる。私はもう4回か5回見ているが、何度見ても感動してしまう。井上ひさしの言葉の力を感じる。
 研修生の公演ということでか、朗読劇ということか、料金がとても安い。A席が2,100円、B席が1,600円、学生はその半額だ。ご覧になることをお勧めする。
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新国立劇場『少年口伝隊一九四五』のページ
http://www.nntt.jac.go.jp/play/performance/140923_005447.html
電話03-5352-9999
東京都渋谷区本町1丁目1番1号
京王新線(都営新宿線乗入)「初台駅」中央口(新国立劇場口)直結。
※東口(東京オペラシティ口)ではないので注意。
京王線は止まらない。