上坂あゆ美『老人ホームで死ぬほどモテたい』(書肆侃侃房)を読む。上坂あゆ美は1991年生まれ、2017年から短歌を作り始める。その前は美大を卒業して絵を描いていたらしい。書肆侃侃房の新鋭短歌シリーズに応募して採用された。その時わずか40首しか作ってなかったという。
父がくれるお菓子はいつも騒音と玉の重みで少しへこんでた
「離婚したら名字どっちになるのがいい?」走るボルボの灰皿あふれる
お父さんお元気ですかフィリピンの女の乳首は何色ですか
昨夜未明急に倒れてそのまま 愛する妻の粥を食べながら
葬式は少人数で催されフィリピンの地で父は眠った
「新人はいいから後ろで見ておきな」フリルの戦闘服の先輩
海に溶く角砂糖となりねむる 地球は流星群がきている
大体はタンパク質と水なのにどうして君が好きなんだろう
「大吉が出るまで引けばいいじゃない諦めたら試合終了なんでしょ」
天使って紙一重だよ いっぽんの棒がわずかにずれれば大便