東京六本木のストライプハウスギャラリーで小堀令子展「Adieu」が開かれている(3月31日まで)。小堀は東京生まれ、1970年武蔵野美術大学を卒業している。祖父は著名な日本画家小堀鞆音で、鞆音は安田靫彦の師だった。令子は現在立軌会会員で、個展は御茶の水画廊、ギャラリーブロッケン、ギャラリー絵夢、ワイオミング大学(U.S.A)、画廊香月、GALERIE PARIS、ストライプハウスギャラリー等、数多く開いている。













今回の個展は小堀にとって特別な個展となった。題名「Adieu アデュー」が示しているが、昨年11月に娘の亜巣架50歳をがんで亡くしたのだ。亜巣架は小山田二郎との間に生まれた子だった。
ギャラリーに入って最初の部屋を除き、奥の部屋と2階の部屋の作品はすべて11月に娘さんが亡くなってから描いたものだという。そんな耐えられないほどの悲しみの中にあって描かれた作品なのだった。
画面には激しい×印が並んでいる。それは何か? おそらく娘の死という現実を否定したい心の表われなのだろう。重ねて描かれる×印はその気持ちの強さ、やりきれなさを示している。しかし、それでありながら小堀の絵は攻撃的にはならない。
2階の壁には娘の顔をデッサンした絵が3点展示されている。葬儀の直前の顔をスケッチしたものだという。どこかお母さんの顔に似た上品な印象の女性だったようだ。
・
小堀令子展「Adieu」
2025年3月20日(木)-3月31日(月)
11:00-18:30(最終日17:30まで)会期中無休
・
ストライプハウスギャラリー
東京都六本木5-10-33
電話03-3405-8108
六本木交差点よりアマンド脇の芋洗い坂を下って左手の横縞の描かれたビル