ストライプハウスギャラリーの大坪美穂展「黄泉の国の神殿」を見る

 東京六本木のストライプハウスギャラリーで大坪美穂展「黄泉の国の神殿」が開かれている(3月14日まで)。大坪は1968年に武蔵野美術大学油絵科を卒業している。今まで銀座のシロタ画廊やギャルリ・プスなど各地で個展を開いていて、韓国やインドのグループ展にも参加している。一昨年もこのストライプハウスギャラリーで大きな個展を開き、私もこのブログで紹介した。。



 階段を下りた部屋の奥の壁面にパネル状の作品が設置されている。「歴史の降らせる雨」と題されたそれは、大坪によれば、ミレニアムを挟んだ20世紀末ころから21世紀にかけての膨大な量の新聞を細く折りたたみ、それを層状に挟みこんでいる。実際に発行された新聞を集積した作品はまさに時間を集積している。それを写真に見るようにみごとに作品化している。離れてみればまさに雨のようだ。


 中2階には「声の棺」。原発などに対する批判の声が封じられているのをこのように作品化したようだ。


 3つが並べて展示されている「神殿」、四角形の「一筋の飢餓の雲」、そのほかドローイングや様々なオブジェが展示されている。


 奥の部屋には天井から多数の針金が吊り下げられている。これは黒い雨だろう。井伏鱒二の小説の題名になった「黒い雨」は、原爆投下のあとで広島に降った放射能を含んだ雨だ。大坪は見に来た人に、吊り下げられた針金に用意した針金を継ぎ足してもらい、参加型の作品としている。
 会期中に3.11が巡ってくる。その日は午後3時から深谷正子とのコラボレーションダンスが予定されており(参加料無料)、終演後ワインパーティーもあるという。
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大坪美穂展「黄泉の国の神殿」
2017年3月4日(土)―3月14日(火)
11:00―18:30(最終日17:30まで)会期中無休
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ストライプハウスギャラリー
東京都六本木5-10-33-3
電話03-3405-8108
http://striped-house.com/