ストライプハウスギャラリーの大坪美穂展「アルボス―沈黙の森―」を見る

 東京六本木のストライプハウスギャラリーで大坪美穂展「アルボス―沈黙の森―」が開かれている(4月17日まで)。大坪は1968年に武蔵野美術大学油絵科を卒業している。今まで銀座のシロタ画廊やギャルリ・プスなど各地で個展を開いていて、韓国やインドのグループ展にも参加している。一昨年にもここで個展を開いている。
 今回の個展のタイトル「アルボス―沈黙の森―」のアルボスは大坪の好きなエストニアの作曲家アルヴォ・ペルトのCD『アルボス《樹》』から採られているようだ。曲はほとんど鎮魂曲のように響く。

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 壁には観音開きの小さな祭壇のような作品がいくつも並んでいる。厚いトレーシングペーパーの端を焼いて重ね合わせているという。「プネウマ」と題されていて30年前に作った旧作とのこと。プネウマはギリシア語で、風、大いなるものの息、ギリシア哲学でエネルギー、聖なる呼吸などを意味し、キリスト教では精霊と訳すという。

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 地下の広い薄暗い空間にも同じ題名の大きな平面作品が展示されている。やはり根源的な存在から生命の息が吹き出ている様を描いているかのようだ。

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 その上のスペースは外光が入って明るく、床には黒く塗られた流木のような物体が数個転がされ、こよりで作ったような白い紐が絡められている。これらが何かの災害の犠牲者を表しているのだとしたら、その地下の「プネウマ」と題された大きなタブローから聖なるエネルギーが吹いていてひそかに癒しているのだろうか。

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大坪美穂展「アルボス―沈黙の森―」
2019年4月3日(水)-4月17日(水)
11:00-18:30(最終日17:30まで)会期中無休
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ストライプハウスギャラリー
東京都六本木5-10-33-3
電話03-3405-8108
http://striped-house.com/
※地下鉄六本木駅3番出口を上がって、喫茶店アマンドの横の芋洗い坂を下って徒歩4分ほどの左手