Kanda & Oliveiraの福田尚代展を見る

 千葉県西船橋のKanda & Oliveiraで福田尚代展「ひとすくい」が開かれている(6月29日まで)。福田は埼玉県出身、1992年東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻を修了し、1994-2000年にアメリカに在住した。

 福田は本のページを折り曲げたり、消しゴムを彫刻したり、回文を作ったりしている。私は東京神田にある小出由紀子事務所での個展を何度か見てきた。昨年は東京都現代美術館の常設展に並べられてもいた。

 今回船橋市のギャラリーで開かれた個展では、1階のスペースに消しゴムで作られた彫刻「漂着物/海辺の洞窟」というインスタレーションが展示されている。



 2階のスペースでは、ページを折り込まれた書物のシリーズ、消しゴムに彫刻したもの、竹のものさしの目盛りを削った彫刻、オイルパステルで塗りこめられた少女漫画、脱色されたハンカチに刺繍、ほぐされた本のしおり紐、画集のコラージュなどが展示されていた。

 ページを折り込まれた書物では、ル・クレジオ『大洪水』やヴェルヌ『海底二万海里』、『ドリトル先生アフリカへ行く』、『十五少年漂流記』などがあった。

画集のコラージュ

オイルパステルで塗りこめられた少女漫画

ほぐされた本のしおり紐

脱色されたハンカチに刺繍

2階の展示風景


 小さなもの、目立たないもの、小声で語られるような世界、しかしそれらが集められると、福田尚代という独特の世界が立ち現れる。ギャラリーの個展とはいえ、小さな美術館での個展の趣がある。わざわざ足を運んだ価値があった。

     ・

福田尚代展「ひとすくい」

2024年5月18日(土)―6月29日(土)

13:00-19:00(日曜・月曜・火曜 休館)

     ・

Kanda & Oliveira

千葉県船橋市西船1-1-16-2

https://www.kandaoliveira.com/ja/

東京メトロ東西線JR総武線各駅停車・武蔵野線西船橋」駅北口より、徒歩約12分

西船橋駅北口からギャラリーへは船橋市西図書館沿いの道が歩きやすい)

※山野浅間神社となり