東京銀座のポーラ ミュージアム アネックスで流麻二果展が開かれている(5月29日まで)。流は1975年、彫刻家流政之の娘として生まれ、女子美術大学芸術学部絵画科洋画専攻を卒業している。その後公立美術館などで個展を行っていて、現在きわめて評価の高い画家の一人だ。
ちらしより、
「色彩の作家」と呼ばれる流の多彩な絵画は、鮮やかでありながら淡い色彩を持ち、透明感と陰影が重なり合う特有の質感を生み出しています。近年は、2018 年のポーラ美術館アトリウムギャラリーでの個展で、ポーラ美術館所蔵の印象派絵画を解釈・再構成した作品を制作したことをきっかけに、伝統的な絵画における色彩を丁寧に追体験しながら、新たな解釈と再構成として色を何層にも塗り重ねた絵画のシリーズ「色の跡」に取り組んでいます。
流の色彩は見事だ。様々な色が塗り重ねられ、その重なり、拡がり、調和や反発が画面を形作っている。色彩によって画面を構成し、色彩が形を作ることはあっても、積極的に形を描くことはしない。
色彩の画家といえば辰野登恵子を思い出す。辰野も優れた色彩感覚と単純な形とで画面を構成してきた。辰野は最年少で東京国立近代美術館での個展を実現するなど高い評価を得てきた。しかし、その短い生涯の晩年に形を取り入れようと苦しんできたように見えた。
流は辰野に比べて形への執着は希薄に見える。色彩だけの仕事は今後どのように展開するのだろうか。
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流麻二果展「その光に色を見る」
2022年4月22日(金)―5月29日(日)
11:00-19:00(入場は18:30まで)
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ポーラ ミュージアム アネックス
電話050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://www.po-holdings.co.jp/m-annex/index.html