東京銀座のギャラリーカメリアで堀由樹子展「アトラス」が開かれている(6月21日まで)。堀由樹子は1971年東京生まれ、1994年東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻を卒業し、1995年同大学造形学部美術学科絵画専攻研究生を修了している。
1995年にJ2ギャラリーで初個展、以後なびす画廊、ギャラリー山口、ギャラリー千空間、パーソナルギャラリー地中海、人形町vision’s、ギャラリーカメリアなどで個展を開いてきた。2020年には千葉市民ギャラリー・いなげで大規模な個展も開催した。
堀の言葉、
山の近くに住んでいたころ、窓の外に刻々と表情を変える樹々や遠くの山肌をよく眺めていた。
今は、スケッチブックと気に入った画材はいつも車に積んであって、ぽっかり空いた時間には、緑地にも川にも海岸にも行くことができる。
森では、樹々の幹や枝葉や蔓の織り重なる形から無数の絵が浮かぶ。描きとめられるのはほんの僅か。キツツキが幹をつつく音。下草の中でガサガサと動くもの。山深い森のことを思い出す。
他方、夕方の浜では、海面が「黄金色に光るぱんぱんの表面張力そのもの」のように見えて、驚いてくらくらした。
暑くなる前までにまた、地図と記憶を辿ってスケッチに出かけなければ。
堀は山や樹木、風景などを描いている。それは具象画に分類されるだろうけど、写実絵画とは真逆の画風だ。山も家も樹木も描かれているが、主体は色彩にあるのではないか。堀の絵画は色彩に溢れ、形をアリバイに色彩を奔放に走らせている。色彩の画家という点でボナールと共通している。
同時に素描を見れば樹木の正確な形が描かれていて、奔放に見える色彩の裏側を確固としたデッサンが支えていることがうかがわれる。
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堀由樹子展「アトラス」
2025年6月11日(月)-6月21日(土)
12:00-19:00(最終日17:00まで)会期中無休
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ギャラリーカメリア
https://www.gallerycamellia.jp/