桑沢デザイン研究所の堀由樹子を見る

 東京渋谷の桑沢デザイン研究所でCSP3が開かれている(12月1日まで)。CSPとは「Creative Spiral Project」の略で、2013年から始めて今年が3回目になる。これは東京造形大学出身者で現在も活躍を続けている作家たちを取り上げたグループ展で、薄久保香、鈴木友晶、中西信洋、中野浩二、箱嶋泰美、堀由樹子ら、絵画、写真、立体の作家6人が参加している。私は堀に興味を持って桑沢デザイン研究所へ出かけてきた。
 堀は1971年東京生まれ、1994年に東京造形大学絵画専攻を卒業し、1995年に同大学絵画専攻研究生を修了している。1995年にJ2ギャラリー、その後なびす画廊、ギャラリー山口、ギャラリー千空間、パーソナルギャラリー地中海、人形町Vision'sなどで個展を開いている。2001年のかわさきIBM市民文化ギャラリーでの坂木優子との2人展も印象に残った。今年9月にはギャラリーカメリアで個展を開いている。
 今回のパンフレットに書かれているテキストを引用する。

在学中はリトグラフを軸に制作していた堀は、その後「描く」ことだけに集中するため、その手法を油彩へとシフトし制作を行っています。身の回りで目にする日常の風景や些細な発見をその題材やきっかけとしながらも、それらを説明的に描くのではなく、あくまでも直感的且つ正直に捉え、新鮮な驚きがそのまま画面に描き出されるよう時間を重ねて作品を描き出しています。本展では、近年の転居を機に見えてきた新たな視界を描いたシリーズが展示されます。





 わりあい大きな50〜130号の作品が5点並んでいる。先のギャラリーカメリアの個展では画廊空間の関係で大きな作品は並ばなかったが、堀の作品は大きなものに優れた作品が多いと思う。
 堀は実在の風景を見てそれを四角いキャンバスに再現していると言う。ところが風景は大きくデフォルメされ、ものの形以上に色彩の饗宴が主となっているように見える。確かに山が描かれ樹木や庭園の一部が描かれてはいる。だがそれらの形態はようやく、これは山だろう、樹木だろうと認められるほどのものだ。風景というアリバイを使って、堀は色彩の探求をしているのではないだろうか。それはとても興味深い仕事だと思う。
 桑沢デザイン研究所は昔何人かの友人が通学していて、45年以上も前に1、2度訪れたことがある。もうほとんど記憶にないが、入口を入るとすぐに扇状に拡がっているロビーは微かに記憶から甦ってきた。人間は場所の記憶を強く持っているという説を再確認したのだった。
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CSP3(Creative Spiral Project)
2015年11月23日(月・祝)〜12月1日(火)
12:00〜20:00(29日は休館)
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桑沢デザイン研究所1階
東京都渋谷区神南1-4-17
http://www.zokei.ac.jp/csp/