東京八丁堀のヒノギャラリーで小林良一展「浮遊する層」が開かれている(4月1日まで)。小林は1957年、栃木県生まれ。1987年に東京造形大学美術学科絵画専攻を卒業している。1986年に小野画廊で初個展。その後ギャラリイKでも個展を行い、1994年からはヒノギャラリーで個展を開き、今回で10回目になる。
ギャラリーのホームページから、
……近年の作品は、異なる色彩を迷いなく用い、以前の作品に見られるような重々しさが薄れ、動的な印象へと変化しています。
今回の展覧会タイトル「遊離する層」は、そうした変化の契機を示唆するものでもあります。絵具を重ねることで増していく厚みは、ときに画面全体の自由を奪うことがあり、そうした時、小林はあえて客観的な「遊離した」色層を侵入させるといいます。物理的には色を描き足しているのですが、作家はこれを「消す」や「壊す」行為と表現します。風穴を開け、新鮮な空気が送り込まれた画面は再び呼吸をはじめます。この大胆な行為こそが、これまでの小林作品に見られるある種の生真面目さを打ち壊し、より自由で勢いのあるものへと変化させる起爆剤になっているのでしょう。……
ギャラリーには6つの大作と小品が多く展示されている。いずれもすばらしい抽象作品だ。補色に近い色を多く使っている。いずれも色彩が鮮やかで激しい印象を抱かせるが、その激しさをコントロールしている。優れた力量の作家で、そろそろ公立美術館での個展が企画されても良いのではないか。
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小林良一展「浮遊する層」
2017年3月13日(月)−4月1日(土)
11:00−19:00(土曜日は17:00まで)日曜祝日休廊
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ヒノギャラリー
東京都中央区入船2-4-3 マスダビル1F
電話03-3537-1151
http://www.hinogallery.com