ギャラリー椿の尾関立子展「The Doll's House」が興味深い


 東京京橋のギャラリー椿で尾関立子展「The Doll's House」が開かれている(10月26日まで)。尾関は1971年岐阜県生まれ、1994年に武蔵野美術大学造形学部を卒業し、1996年に同大学大学院造形研究科を卒業している。今まで東京の麻布霞町画廊や新潟の羊画廊、アメリカのポートランドの画廊などで個展を開いている。銀座京橋界隈では初めてとのこと。それでこんなに良い作家を知らなかったのだ。


 ギャラリーの大きな壁に張られた版画作品に目が行く。左右5mを超える大きさだ。たくさんの版画作品を貼り合わせ、またその上に貼り重ねたりしているコラージュ作品とのこと。これが見る者を圧倒し、同時にまた見飽きさせない。個展のタイトルThe Doll's House=人形の家の名前のとおり、人形の群像にも見えるが、よく見ればキューピーやぬいぐるみ、着せ替え人形などが、並んでいたり、手足がバラバラにされていたり、あるいは首がとれていたりして単純な図像ではない。単純でないとは安易な意味作用に還元できないということだ。すると、不思議な画面にただ見入るより仕方ないということになる。それがなかなか心地よいのだ。こんな面白い版画作品、今まで見たことがあっただろうか。もちろん1点物のモノタイプだ。


 ほかに普通の大きさの大作や小品の版画も並んでいる。それらはコラージュ作品ではなく、家(ドールハウスか?)やカーテンの陰から覗く人形の落書きだったりする。これらもとても良い。
 そのほかに油彩も並んでいる。会期は来週一杯あるので、ぜひ多くに人に見てほしい。
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尾関立子展「The Doll's House」
2013年10月12日(土)−10月26日(土)
11:00−18:30(日曜祝日休廊)
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ギャラリー椿
東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1階
電話03-3281-7808
http://gallery-tsubaki.jp