書評家 豊崎由美の推す現代の純文学作家は

 朝日新聞に「作家・石原慎太郎 評論家が語る」という記事が掲載されていた(11月27日付け)。石原慎太郎の文学作品を書評家の豊崎由美が語っている。

 豊崎さんは『文学賞メッタ斬り!』(大森望氏との共著)で石原氏の芥川賞選評を鋭く批判した。ではいま石原文学をどう位置づけるのか。
 「私にとって今の純文学作家では金井美恵子さんと古井由吉さんがAクラス。村上春樹さんがBプラスで、石原さんはB。一番多い層です」(後略)

 実はクソ慎太郎の文学的価値なんて興味はない。豊崎の評価するBクラスだってほめすぎだ。ここに紹介したかったのは、金井美恵子に対する評価だ。「今の純文学作家では金井美恵子さんと古井由吉さんがAクラス」と言っている。古井由吉はともかく、金井美恵子がAクラスと言われていて、私の評価と全く一致している。日本の作家では金井美恵子が最も好きな作家だ。世界まで広げれば、ジョン・ル・カレスタニスワフ・レムになる。ル・カレはミステリ〜スパイ作家、レムはSF作家に分類される。しかし2人ともそのジャンルを軽くはみ出していて純文学作家と比べて何ら遜色がない。
 豊崎由美は優れた書評家で、彼女の薦める海外作家は外れがないと思う。なぜこんな優れた書評家を朝日・毎日・読売は書評委員に選ばないのだろう。
 金井美恵子については、ブログに何度も書いてきたのだった。


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