ポーラ ミュージアム アネックスの野口哲哉展を見る

 東京銀座のポーラ ミュージアム アネックスで野口哲哉展「this is not a samurai」が開かれている(9月11日まで)。野口は1980年、香川県高松市生まれ。2003年広島市立大学芸術学部油絵科卒業、2005年同大学大学院修了。今まで練馬区立美術館や秋水美術館、山口県立美術館などで個展を開いている。

 ギャラリーのホームページより、

 

野口哲哉は、鎧兜をモチーフに人間の内面性や多様性を問いかける美術作家です。2021年の巡回展をはじめとした国内外での展示開催や海外ブランドとのコラボレーションなど、その活躍は多岐に渡り、見る人に感情を押し付けないニュートラルな作風はあらゆる世代や国籍の人々に広く受け入れられています。

野口は樹脂や化学繊維といった現代的な素材を使って作品を制作しています。それは鉄や漆などの素材、あるいは鎧兜といったモチーフに付きまとう、「こうあるべき」という原理主義的な事柄に対する、野口独自のアイロニーでもあります。

鎧武者だけではなく、人間が誰しも持つ暴力性や生々しさ、現代人だけではなく、どの時代の人間も持つ優しさや美しさ、野口の作品は心地よい緊張感と静かなユーモアが交錯する、新しい形の現代美術と言えます。

 



 野口の侍は中世と現代の風俗をミックスさせた造形に特徴がある。あえて時代考証を混乱させている。山口晃が絵画でやっている方法を立体に応用したような趣がある。とても人気があるらしく、私が行ったときも多くの観客が詰めかけていた。その面白さは見れば分かるので、ファインアート以外のファンにも受け入れやすいのだろう。

 ちょうど同時期のG-6の銀座蔦屋書店GINZA ATRIUMでも野口哲哉展が開かれている(8月31日まで)。野口の人気を物語っているのだろう。

 どちらかと言えば、工芸の世界だと思うけど。

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野口哲哉展「this is not a samurai」

2022年7月29日(金)―9月11日(日)

11:00-19:00(会期中無休)

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ポーラ ミュージアム アネックス

東京都中央区銀座1-7-7 POLA銀座ビル3階

電話050-5541-8600(ハローダイヤル)

https://www.po-holdings.co.jp/m-annex/index.html