東京六本木のShugoArtsで小林正人展「画家とモデル」が開かれている(7月6日まで)。小林は1957年東京生まれ。東京藝術大学を卒業後、1996年サンパウロビエンナーレ日本代表に選ばれる。1997年渡欧しベルギーを拠点に各地で現地制作を行い2006年に帰国する。
今回の個展についてギャラリーで配布しているちらしがある。そこから一部を引く。
2017年から制作を始めた今展では、後ろ向きに横たわり背中から心臓を撃ち抜かれたモデルと、筆を咥えて歯噛みする馬(画家)がそれぞれ描かれ展示されます。両者の関係は謎に満ち、決してハッピーエンドを迎えるものとも限りません。しかしその過程のなかで画家は現実と画を生き抜き、過去も現在も統合し美を結実させます。その行為は神秘的であり、ひとりでなし得ることが出来ないからこそ、小林はこの星に捧げる作品として画家とモデルをテーマに制作を続けます。
この個展について、美術ジャーナリストの名古屋覚が『ギャラリー』7月号に書いている。それを一部引く。
……20余年前までの小林氏の作品からは、それを絵画と呼ぼうと呼ぶまいと、何かの原点に立ち、何かを渇望し模索する人間の純真な緊張、清澄な興奮が感じられた。モデルはおろか画家さえ、作品への侵入を許されていたかどうか。
今展では、ゆがんだキャンバスや手で絵の具をなすり付ける描き方は昔通りでも、画家もモデルも当然のように現れ、かつくたびれて、死にそうでもある。小林氏個人の遍歴にちなむ、きざな言葉をまぶした演出はあるけれど、あの頃の透明な気迫、無垢な刺激はない……
さて、私の意見は差し控えることにする。いや、ひと言だけ。ちゃんとしたキャンバスに貼ったら絵はどう見えるのだろう。
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小林正人展「画家とモデル」
2019年6月1日(土)-7月6日(土)
11:00-19:00(日月祝休廊)
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ShugoArts シュウゴアーツ
東京都港区六本木6-5-24 2F
電話03-6447-2234
http://www.shugoarts.com
※麻布警察裏手のコンプレックス665ビルの2階