無人島プロダクションの風間サチコ展「セメントセメタリー」を見る

 東京墨田区江東橋の無人島プロダクションで風間サチコ展「セメントセメタリー」が開かれている(3月8日まで)。風間は1972年東京生まれ、1996年武蔵野美術学園版画研究科を修了している。1998年にギャラリー山口で初個展、その後、ギャラリー手、マキイマサルファインアーツなどで個展を開いているが、最近は無人島プロダクションでの発表が中心になっている。風間は今年の高島屋のタカシマヤ文化基金小泉明郎らとともに受賞した。

f:id:mmpolo:20200212232521j:plain

f:id:mmpolo:20200212232808j:plain

f:id:mmpolo:20200212232823j:plain

f:id:mmpolo:20200212232836j:plain

f:id:mmpolo:20200212232853j:plain

f:id:mmpolo:20200212232909j:plain

f:id:mmpolo:20200212232924j:plain

f:id:mmpolo:20200212232941j:plain

 今回の展示は現代の文明の中心となっているコンクリートの原料である石灰石に焦点を当てている。石灰石を採掘する鉱夫を大きな木版画で表しているが、一部にドローイングを加えて批判的に表している。鉱夫が並んだ作品はエジプトの神殿を思わせもするし、石灰岩を切り出して山容が変わってしまった秩父武甲山のことも考えさせられる。
 風間は力強い造形力を持ち、また鋭い社会批判精神も併せ持っている。木版に墨1色という素朴な技法で現代美術の世界で大きな評価を受けている。初個展から20年以上続く制作は一切ぶれることがない。
 風間はブログも書いていて、彼女の考えも知ることができる。
・窓外の黒化粧
http://kazamasachiko.com/
 そこに、画廊の奥に置かれている箱型の物体が、捨てコンクリートというもので、これが建物を建設する際に行う基礎の土木作業の一つで、型枠や鉄筋を受ける目的でこしらえたコンクリート製土台のことだと書かれている。その上に鉱夫の版画の版木が置かれている。
     ・
風間サチコ展「セメントセメタリー」
2020年2月8日(土)―3月8日(日)
12:00-19:00(火~土)、12:00-17:00(日)
月曜および祝日休廊
     ・
無人島プロダクション
東京都墨田区江東橋5-10-5
電話03-6458-8225
http://www.mujin-to.com/