府中市美術館の青木野枝展「霧と鉄と山と」を見る

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 東京の府中市美術館で青木野枝展「霧と鉄と山と」が開かれている(3月1日まで)。青木の略歴を美術館のホームページから引く。

1958年東京都生まれ。鉄板から切り抜いた形をつなげて広い空間に展開し、新しい彫刻のかたちを提案している。近年はガラスや石膏など新たな素材にも挑戦する。国立国際美術館(1995年)、目黒区美術館(2000年)、豊田市美術館名古屋市美術館(2012年)、長崎県美術館(2019年)、鹿児島県霧島アートの森(2019年)など個展多数。越後妻有アートトリエンナーレ(2000年-2018年)、瀬戸内国際芸術祭(2010年)に参加。主な受賞に、第50回芸術選奨文部大臣新人賞(2000年)、第55回毎日芸術賞(2014年)、第40回中原悌二郎賞(2017年)。多摩美術大学客員教授

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(ちらしから)

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(葉書から)

 

 青木は鉄を切り抜き、そのピースを繋ぎ合わせて大きな立体を作っている。鉄の輪をピラミッド型に組み上げた立体は高さ4メートル以上ある。絵葉書の画像は半円形に鉄の棒状のピースを組み立てており、そこに卵を付けている。
 その他石膏で作った大きな山型の立体もある。
 鉄で作られた立体は、個々のピースの組み合わせは複雑な姿をしてはいるが、大きくは単純な構造をしている。青木の立体が魅力的なのは、個々のピースが複雑に組み立てられていることによるのだろう。
 一方その全体像は単純な構造をしている。青木についても、大まかな言い方になるが、志賀直哉川端康成が日本的な作家だという意味で日本的な作家だと言い得るのではないか。志賀も川端も短篇を積み上げて長篇小説を作っている。志賀も川端も最初から大きな構成を用意しているのではない。短篇を積み上げていって長篇が完成している。おそらく青木も同様に個々のピースを積み上げて大きな作品を作っているのではないか。
 青木の作品は細部の美しさがその魅力だと思われる。だから細部がなく大きな構造だけの石膏の作品は面白くなかった。
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青木野枝展「霧と鉄と山と」
2019年12月14日(土)―2020年3月1日(日)
10:00-17:00(月曜休館)
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府中市美術館
東京都府中市浅間町1-3 (都立府中の森公園内)
電話03-5777-8600(ハローダイヤル)
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/
京王線東府中駅北口から徒歩17分