なびす画廊の瀧田亜子展を見る

 東京銀座のなびす画廊で瀧田亜子展が開かれている(5月2日まで)。瀧田は1972年東京都生まれ。なびす画廊での個展は昨年の11月に続いて今回で18回目になる。最近は春秋と年に2回も個展を行っている。その作品は紙に顔料で描いている。
 瀧田は昔から書を学び、そのため中国に留学してもいる。絵画に転じた後も、書を通して身につけた「線」を表現の核にして作品を作っている。書と西洋絵画を融合した瀧田の仕事は独特の世界を見せている。

 今回驚いたのは画廊正面の壁に展示されている大きな作品だった。影のように暗く弧を描く半円の色塊が中央に置かれている。どこかで見たような絵柄だと思ったが、本阿弥光悦船橋蒔絵硯箱ではないかと気がついた。そんなことを言ったら瀧田は笑うかもしれないが、色調と形がそんな連想を誘う。
瀧田の作品は6枚のパネルをつなぐものが多い。その1枚のパネルに描いた形を6回繰り返して完成させたような作品が多い。とは言え、無機的な繰り返しではないのでミニマルの印象はない。今回もそのような作品が1点展示されていたが、この大きな半円の仕事は瀧田の新展開だと思われる。


 瀧田毎年2回、春と秋にこのなびす画廊で個展を行っている。今年も次の個展を11月に予定しているという。思えば初期の山野の樹木群・林を描いたような作品から徐々にここまで展開してきている。これがこの後どの方向へ進んでいくのだろう。
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瀧田亜子展
2015年4月20日(月)−5月2日(土)
11:30−19:00(土曜 17:00まで)
日曜・祝日休廊
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なびす画廊
東京都中央区銀座1-5-2 ギンザファーストビル3F
電話03-3561-3544
http://www.nabis-g.com