ブリジストン美術館の野見山暁治展の展評


 朝日新聞2011年12月7日夕刊に田中三蔵によるブリジストン美術館で開かれている野見山暁治展の展評が掲載された。題して「野見山暁治展 画風変遷の旅と 続く深化」。本展評から、

 滋味あふれる長編映画を見るような満足感をもたらす美術展は、意外に少ない。だが、「野見山暁治展」はその希少例の一つだ。(中略)
 主な見どころは二つある。
 一つは、画風変遷の長い旅程である。(中略)
 二つ目は、まさに現在進行形の深化過程を実見できることだ。展覧会図録掲載に間に合わず特別出品となった大作「ある歳月」。赤色が強く迫る。緑や青、白、黄を配し、あえて不協和音を奏でる。山か岩か、川なのか、がれきなのか。名づけようのない形態と、人の顔や手とも見えるおぼろなかたちが交錯する。(中略)
 17日に91歳を迎える画家が図らずも突きつけられた危機感。ある達成を経た後の充実と虚無も統合しながら、なお生き、乗り越えようとする激しい営みが続く。その現場に立ち会うだいご味は、なにものにも代え難いものだ。

 12月17日に91歳を迎えるのか。11月3日に朝日カルチャーで開かれた野見山暁治トークショーで、あと10年生きられたらまた回顧展を開きたいと言われた。でもその時どこの会場を選んだらいいのか。もう会場がないと。たしかに練馬区立美術館でやり、東京国立近代美術館でやり、今回はブリジストン美術館だ。現在の元気さを見れば10年後の回顧展は現実味があるように思われる。会場は六本木の国立新美術館でいいのではないだろうか。


野見山暁治
12月25日(日)まで(月曜日休み)
ブリジストン美術館
東京都中央区京橋1-10-1