川本三郎『マイ・バック・ページ』(河出文庫)を読む。副題が「ある60年代の物語」。本書を読んだのは、先頃亡くなった早川さんが、「Oさん、あの夜に私が話した本は、この河出書房新社の川本三郎著「マイ・バック・ページ」です。現在は絶版ですが、いつかどこかで巡り遭ったら読んでみてください」と書いていたからだ。
http://d.hatena.ne.jp/hayakar/20081216
さらにコメント欄でこう書いている。
川本氏の本はみんな大好きなんですが、この本に書かれた経験あってこその今の暖かい文体なんでしょう。特に後半の悲痛さがたまらないです。普通の人だったら人生終わってますよね。そこから筆一本で復活したことに感銘を受けるのです。若い人に一番勧めたい一冊です。
写真に撮って気がつきましたが、帯の惹句がそそります。
その帯の惹句というのは、
1969年、私は週刊誌の記者になった。まだ25歳だった。
ベトナム戦争、バリケード、デモ、ストーンズ、CCR、そして死者たち。あの時代が「私」をつき動かし、激動する東京とある政治的事件に遭遇させる。長い沈黙を破って語りだされる60年代へのレクイエム。
「Switch」連載中より注目を集めた、はげしさと痛みをともなって時代の核心を描くノンフィクション・ノベル!
過激な学生運動が盛んだった1971年、京浜安保共闘のメンバーと名乗る男から編集部に独占インタビューをしないかという電話があった。川本と先輩記者が会って記事にした。だが男はそこのメンバーなんかではなかった。
その後男はまた大きな事件を起こすつもりだと言って、川本に武器と称する包丁を見せる。近いうちに自衛隊の基地を襲って武器を奪うと言う。そして実際に自衛隊朝霞基地で自衛官を殺してしまった。男は川本に証拠の品を預け、それがために川本は逮捕され裁判で有罪の判決を受けた。川本は朝日新聞社を首になった。
それらのことが回想されている。当時のことをきちんと書くまで15年が必要だったという。そういえば早川さんは60年代が好きだった。
たまたま雑誌AERAを見たら、この作品がすでに映画化されていて12月2日にDVDが発売されたという広告が載っていた。調べたら5月28日に劇場公開されたらしい。監督が山下敦弘、主演が妻夫木聡と松山ケンイチだ。早川さんだったらどんな評価をするだろう。

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