文京アートの吉仲太造展は見逃したくない

 地下鉄八丁堀駅近くの文京アートで吉仲太造展「大いなる遺産」が始まった(12月25日まで)。吉仲太造は1928年京都市生まれ、1985年56歳で亡くなる。今年が没後25年の年。
 ちょうど10年前に渋谷区立松濤美術館で個展が行われた。すばらしい回顧展だった。しかし最近の美術家たちは吉仲の名前を知らない者もいる。吉仲はタコの絵のシリーズからキャンバスに釘を貼り込んだり、新聞の株式欄をコラージュしたり、ポストを描いたり、シルクスクリーンの作品を作ったり、緑一色に塗り込んだ作品を作ったりと様々に変貌した。そして最後は珠玉の美しい作品、白い絵を描くに至る。
 今回の文京アートの個展では、その様々な時代の作品が網羅されている。最後の白い絵の時代を除いて。吉仲太造をぜひ見てほしい。もっともっと吉仲は評価されなければいけない作家なのだ。
 文京アートは京橋の天井の低いビルから移転してすばらしい空間を得た。広く天井が高く、八丁堀の駅からも徒歩2、3分といった近さだ。銀座から歩いてもせいぜい10分くらいだろう。多くの人にぜひ見てほしい。


吉仲太造「明り」(2006年12月23日)


吉仲太造展「大いなる遺産ー没後25年」
2010年12月10日(金)ー12月25日(土)
11:00ー18:30(日・月・祝日休廊)


文京アート
東京都中央区入船1-3-9 長崎ビル9階
電話03-6280-3717
http://www.bunkyo-art.co.jp