ぎゃらりぃ朋の宮永直人展がすばらしい!

 銀座1丁目のぎゃらりぃ朋(とも)で宮永直人展が開かれている(17日まで)。宮永直人は1973年東京生まれの35歳、1999年にギャラリー銀座フォレストで初個展を開いた。その時いい画家だと思い、それからずっと見てきた。
 千住博のプライマリー画廊でもある高級日本画専門の白石ギャラリーで毎年宮永直人を含む若手3人展をしていたが、そこのお爺さんの番頭さんと話したとき、うちは貸しはやらないのだが平松礼二先生の頼みなのでこの子たちを取り上げているのですと言われた。3人のうちで私は宮永さんが好きなんですと話すと、お爺さんはこの3人のなかで宮永君だけは特別だねえと言った。
 表参道の新生堂ギャラリー主催の新生展の優秀賞を受賞したり、専門家の評価は高いのだが、なぜかあまり売れてなかった。宮永のテーマのひとつが肉体労働者だった。なぜ土方を描くのかとの質問に、肉体労働者の日焼けした褐色の肌の色が好きなので、それで彼らを描いているんですとのことだった。白石ギャラリーも新生堂も高級日本画専門の画廊だ。これらの画廊の顧客にとって美女や裸婦や花鳥風月こそが絵のテーマであるべきで、土方が描かれた日本画を買おうとは思わないのだろう。
 さて、今回の個展である。土方が消えて女性や子ども、若い男、風景などが描かれている。日常の女性のちょっとしたポーズ、皿に置かれたりんごや葡萄、2匹の猫、夜の街の風景。ちょっと藤田嗣治を連想するかもしれない。色彩もそうだが巧さも共通している。墨の線描も。果物を描いた静物画がなぜか官能的なのだ。この画家の裸婦が見てみたい。
 初個展からすばらしかったが、この10年間で確実に進展している。私はふだん日本画や具象画を見ることが少なく、それらについて語る自信がないのだが、宮永直人に関しては初個展からその傑出した才能を信じてきた。今回の個展を見て、そのことを改めて実感することができた。すばらしい個展をぜひ見てほしい。
(値段も驚くほど安い。小さな作品がたったの4万円だ!)





ぎゃらりぃ朋
http://www.geocities.jp/gallerytomo1998/
〒104-0061 東京都中央区銀座1-5-1 第三太陽ビル2F
tel/fax:03-3567-7577
1月9日(金)〜17日(土)、12:00ー19:00(日曜祝日休み)
http://www.geocities.jp/gallerytomo1998/information.html