SCAI the BATHHOUSEの宮島達男展「LIFE(complex system)」を見る

 東京上野桜木のSCAI the BATHHOUSEで宮島達男展「LIFE(complex system)」が開かれている(4月22日まで)。宮島は1957年、東京生まれ。1984年に東京藝術大学を卒業し、1986年に同大学大学院を修了している。
 宮島は数字を明滅させる発光ダイオードを使って作品を制作している。今回の作品は東大で人工生命を研究する池上高志教授の協力を得て、生命体のような動きをする特殊なプロミングと電子回路を構築したIKEGAMI Modelを使って、人工生命が「孵化器」の中で息づくようなLEDのまたたきを制作している。






 宮島達男については、一昨年赤坂のドイツ文化センターで行われた山本和弘との対談が忘れられない。ヨーゼフ・ボイスを語るものだった。ボイスが来日したとき、東京藝大で講演が行われた。宮島が学生を代表してボイスに質問をした。質問は学生仲間たちと当時荻窪に住んでいた長谷川祐子の下宿に集まって徹夜で考えたものだった。それがボイスの興味を全く引かなかったようで、ボイスが退屈していたのが分かった。
 山本との対談で宮島が言う。ボイスが何を考えていたのか、何に興味を持っていたのか、それが分かったのがここ10年ほど前でした、と。宮島といえば東北芸工大の副学長も務め、日本の美術界では定評のある作家だ。それが、ボイスのことが分かったのがやっと10年前だったと率直に語っていた。偉ぶったところの全くない宮島の態度が深く印象に残ったのだった。
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宮島達男展「LIFE(complex system)」
2017年3月3日(金)−4月22日(土)
12:00−18:00(日・月・祝日 休廊)
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SCAI the BATHHOUSE(スカイ・ザ・バスハウス)
東京都台東区谷中6-1-23
電話 03-3821-1144
http://www.scaithebathhouse.com/