ギャルリー志門の黒田薫・藤澤江里子二人展を見る


 東京銀座のギャルリー志門で黒田薫・藤澤江里子二人展「さかいめ/わけてつながる」が開かれている(3月25日まで)。
 藤澤は1960年東京都生まれ、武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン科を卒業したあとBゼミスクールを修了している。その後、なびす画廊、かわさきIBM市民文化ギャラリー、村松画廊、ギャラリーαM、トキ・アートスペースなどで個展を開いている。2012年は青梅アートフェアで青梅市立美術館に大作を展示していた。一昨年は上野の櫻木画廊で3人展、昨年はトキ・アートスペースで個展を開いている。





 今回は紙に描いている。藤澤の得意とする素早い線が走り、色面が空間を埋める。まぎれもない抽象画なのに風にあおられる草原が見えるようだ。藤澤は野見山暁治と同じく描きながら作っていくタイプなのだろう。しかし野見山のようにゆっくり考えながら描くのではなく、速いスピードで描いているのではないかと作品を見ながら思った。どの作品にも疾走感が感じられる。静かなスタティックな画面を作っている画家と動きのあるダイナミックな作品を作る画家がいるが、藤沢は画面に動きを作っている画家なのだろう。


 黒田薫は1971年、神奈川県生まれ。1997年に女子美術大学工芸科を卒業し、1999年に同大学大学院美術専攻陶造形領域を修了している。2001年にギャラリーQで初個展、その後ギャラリー山口で個展を5回行ったほか、各地のグループ展にも出品している。
 今回、陶で作った球体の作品を円形に並べている。作品は球体だが割れた卵の殻のようにも見える。それらが繋げられて輪を作っているのだが、何か所かで輪は途切れているように見える。これは例えば連帯が壊された福島などの共同体をイメージしているのだろうか。いずれにしろ、球体は壊され輪も分断されている形のインスタレーションだ。黒田の詠嘆と批評眼が感じられるのではないか。
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黒田薫・藤澤江里子二人展「さかいめ/わけてつながる」
2017年3月20日(月)−3月25日(土)
11:00−19:00(最終日17:00まで)
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ギャルリー志門
東京都中央区銀座6-13-7 新保ビル3F
電話03-3541-2511
http://g-simon.com/