黙示体、花輪あや、懐かしい

mmpolo2007-04-10




 もう30年ほど前になる。黙示体というアングラ劇団があって、花輪あやさんが脚本家兼主演女優だった。きれいな人だった。いつも阿佐ヶ谷の小さなスペース「アルス・ノーヴァ」で公演をしていた。公演後客席に一升瓶を持ってきて観客たちと始発まで飲み明かすなんてこともしていた。
 芝居は過激だった。刃物を投げ合ったり、主演女優(花輪あや)が半裸になったりした。半裸になる脚本を書いたのもその主演女優だったのだ。芝居はよく分からなかった。
 公演後の飲み会で、あんた何してるのと聞かれて、サラリーマンですと答えたらちょっと馬鹿にされた。やっぱりそれって傷つくじゃん。
 いま朝日マリオンがあるところ、西武や阪急デパートのある場所に日劇ミュージックホールがあった。その地下にヌードクラブもあって、私もたまに行っていた。酒を飲みながらヌードショーが見られる。そこに会社の後輩を連れて行ったとき、何とその日出演しているヌードダンサーが花輪あやだった。別名で出演していた。嬉しくなって、「黙示体、頑張れよー」と声をかけた。踊りの後でダンサーが客のテーブルを回るのがそこのサービスになっていた。ところが彼女はわれわれのテーブルだけは来なかった。
 後輩に文句を言われた。先輩があんなことを言うから来てくれないんですよ。そうだったのか。ヌードダンサーは生活のためで、それは役者兼脚本家のプライドを傷つけるものだったのだ。花輪あやさん、あなたは間違っている。唐十郎も李礼仙も金粉ショーをしていたのだ。どうして恥じることがあるのか! と、言いつつ彼女も傷ついたんだね。テーブルへ来たとき小さな声で言えば良かった。