東京上野の森美術館で「VOCA展 2025」が開かれている(3月30日まで)。今年のVOCA展は全国の美術館学芸員やキュレーター、研究者から推薦された40歳以下の23組(24名)の作家が出品している。年齢のほか平面作家であることが条件になっている。VOCA大賞1名、奨励賞2名、佳作賞2名、大原美術館賞1名となっている。
ここでは受賞作品と、私が興味を持った作品を紹介する。













VOCA賞は1994年に創設された。私もほぼ毎年見てきたつもりだが、ここ10年以上あまり面白いと思う作家が少なくなってきた。特に受賞作に共感を持てないことが多い。しかし、かと言ってVOCA賞不要などというつもりはない。FACE展も含めて有意義な展覧会だと思っている。展覧会に選ばれた作家たちは、それまで無名だったのに、公的美術館の権威ある展覧会に選ばれたという実績がつく。それは作家にとっても、彼・彼女を扱う・扱おうとしている画商にとっても有意義だろう。作家が一歩を進められるのだ。
ただ、このように1点だけを見て評価するのは本当は難しい。できたら個展のように何点も並べて見てみたい。今でこそ国際的になった加藤泉もVOCA展では出品できただけでどんな賞ももらえなかった。そうは言いながら、中村宏はたった23歳で代表作「砂川五番」を描いている。
以前、私はVOCA大賞=寅さん説を唱えたこともあった。複数の審査員が選ぶとフーテンの寅さんを選ぶことになってしまうという意味だ。多数決では無難な線に陥ってしまう。
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「VOCA展 2025」
2025年3月15日(土)-3月30日(日)
10:00-17:00(最終日15:00まで)会期中無休
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電話03-3833-4194