ニエト・アルベルトの木版画がすばらしい

 東京銀座の養清堂画廊で川村紗耶佳×Alberto NIETO展が開かれている(8月8日まで)。そのAlberto NIETO(ニエト アルベルト)の木版画がすばらしい。ニエトは1985年、ペルーのリマ市生まれ。父がペルー人で母が日本人。小学校3年のとき日本に来て、以来日本で暮らしている。2013年、京都精華大学芸術学部メディア造形学科版画コース 卒業。同年東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻版画分野に入学して現在に至っている。2012年、アセルボク (京都) で初個展。その他、2012年以来、芸大絵画棟ギャラリーや養清堂画廊、またオーストリアなどのグループ展に参加している。



 今回ニエトは大きな木版画を出品している。縦長の大きな版画が10枚で1セットになっている。ニエトによれば、これは棟方志功の「釈迦十大弟子」にヒントを得て制作したものだという。棟方が仏教をテーマにしたのに対して、ニエトは生まれた地ペルーのカソリックをテーマにしている。しかし多神教の仏教をテーマにした棟方が中心を持った作品となっているのに、ニエトのカソリックの作品が中心を持たない作品になっているのが面白かった。作品は中心を示さないで、画面全体が均質に描かれている。まるで一神教ではなく、アニミズムの世界のようだ。描かれた顔も土俗的なお面を思わせる。ニエトが生まれ育ったペルーの伝統文化が影響しているのだろうか。
 ニエトは木版画の技術を日本で習得している。その技術がペルーの伝統文化と融合して、どこにもないきわめてユニークな作品を産み出している。
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川村紗耶佳×Alberto NIETO展
2015年7月27日(月)−8月8日(土)
11:00−19:00(最終日17:00まで、日曜休廊)
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養清堂画廊
東京都中央区銀座5-5-15
電話03-3571-1312
http://www.yoseido.com