銀座1丁目のK'sギャラリーで開かれていた上田泰江展「蓮池とその周辺 四季のドラマ」がとても良かった。残念ながらもう終わってしまった。私が行ったのが最終日の10月19日(火)の夕方6時近かった。すばらしい作品が並んでいた。しかし1点も売れていなかった。なぜなのか。
上田泰江は1930年、京都府生まれ、今年80歳になった。私は十数年前から新宿にあった杏美画廊で彼女の個展を見ていた。杏美画廊はしばしば脇田和と野見山暁治、宮崎進の3人展を企画していた。野見山暁治を扱う画廊としては早かったのではないか。杏美画廊が定期的に取り上げるくらいだから上田泰江も悪くなかった。しかし久しぶりに見る上田の作品はとても80歳とは思えない瑞々しさだった。以前に増してすばらしい作品になっている。
高齢になって作品がずっと良くなった画家といえば富岡鉄斎、村井正誠、猪熊弦一郎などを思い出す。だからそのことは不思議でも何でもないのだが。とはいえ、目の前にそれを実見すればやはり感動する。
すでに個展が終わってしまっていて、見ることができないのが本当に残念だが、会期が終わった後もK'sギャラリーで何点か預かっていて、来年1月頃の常設展に展示するという。その折りは早めに紹介したいのでぜひ見てほしい。
売れなかったのが本当に不思議だ。作品がすばらしくて値段も1号当たり2万円くらいなのだ。最近どこかの画廊で個展をやった石井某が1号当たり3万円で、初日の2時間で完売したというのと比べると、まさに「不条理」という言葉を思い出す。石井の作品は可もなく不可もないというものなのに、テレビの「情熱大陸」だかで取り上げられた結果だという。村上肥出夫も石井某もマスコミが作ったスターなのだ。
当時杏美画廊を手伝っていた奥村さん、何かコメントを書いてくれると嬉しい。
上田泰江展
2010年10月14日(木)〜10月19日(火)
K'sギャラリー
東京都中央区銀座1-5-1 第3太陽ビル6階
電話03-5159-0809
http://ks-g.cool.ne.jp/