東京木場の東京都現代美術館で岡崎乾二郎展「而今而後」が開かれている(7月21日まで)。作品数が多いので平面と立体に分けて紹介する。
岡崎は1955年東京生まれ、造形作家でありながら、美術批評の分野でも高い評価をされている。東京では初の大規模な回顧展となる。
私が勤務していた職場に岡崎の従兄が勤めていた。それで40年以上前に六本木のギャラリーで開かれていた個展を見に行ったことがあった。レリーフの「あかさかみつけ」シリーズが展示されていた。その後もあちこちのギャラリーで何度も岡崎の個展を見てきたが、その作品がよく分からなかった。渋谷にあったゆうじん画廊で岡崎の個展を見たとき、画廊主に初期のあかさかみつけシリーズはステラの影響を受けているのではないかと尋ねたがそれは否定された。
あれはいつだったか、東京国立近代美術館で開かれた岡崎の小個展は印象に残るものだった。
岡崎の平面作品は独特の造形をしている。絵具の塊を薄く伸ばし大きな筆触のような量塊のような色面を画面に並べている。一見アトランダムのようだが、おそらく岡崎にとって計算されたものだろう。
造形的に共通な傾向を考えると李禹煥が浮かんでくる。李は大きな刷毛の筆触で抽象的な作品を作っているが、その内容なミニマルだ。ミニマル、つまり表現が最少なのだ。したがって李禹煥の作品はつまらない。比べて岡崎乾二郎はミニマルではない。つまり表現が豊かなのだ。
私もまとめて見る機会を得たことで岡崎への理解がとても進んだのだった。岡崎乾二郎の造形は比類がない。今回の個展を機に岡崎の評価は飛躍的に高まるに違いない。
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2025年4月29日(火)-7月21日(月)
10:00-18:00(月曜休館)
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東京都江東区三好4-1-1
電話050-5541-8600(ハローダイヤル)