裏目に出たカメムシ作戦

 朝日新聞2010年1月12日夕刊に、林家正蔵の「TOKYO歳時記」というコラムが掲載されている。今回の題は「裏目に出たカメムシ作戦」。正蔵天橋立の高座に列車で向かう。長旅を利用して稽古をしようと思っていたが、隣の席のカップルがいちゃついているので稽古に集中できない。

 ふと、窓のカーテンを見ると、そこに弱り切ったカメムシがいた。
 このカメムシ君、ちょっと指ではじいたら、まさか向こうには行かないよな、って思った。でも、まあ、やってみてやろうか。指でカメムシをはじいたら、窓ガラスに跳ね返って、きれいな放物線を描いて2人のほうに飛んで行った。
 女性は「キャー」なんて驚いている。よしよし。これでいちゃつくのも当分ないだろうと思っていると、男性のほうが「かわいそうじゃないか」と言って、カメムシを通路に逃がしてやった。
マー君、とっても男らしくて、やさしいのね」
 よけい仲がよくなってしまった。カメムシ作戦、大失敗。

 そのコラムに付されているのはRyu Itadaniさんのカメムシのイラストだ。このカメムシはきれいなカメムシの代表で、アカスジキンカメムシの仲間だろう。秋から初冬にかけて越冬のために人家などに侵入してくるカメムシは、こんなきれいな種類ではなくて、地味な色のスコットカメムシクサギカメムシの類なのだ。まあ、この辺は多少ペダンチックなきらいがあるけど。
スコットカメムシ
http://www.weblio.jp/img/dict/gicns/gaicyu/uimg/28020.jpg
クサギカメムシ
http://rikanet2.jst.go.jp/contents/cp0140d/images/105a-big.jpg