山本弘の作品解説(57)「童」


 山本弘「童」、油彩、F4号(33.3cm×24.2cm)
 1976年制作、46歳のときの制作。子どもが描かれている。頭がずいぶん大きく見えるが、あるいは端午の節句の新聞紙で作った兜をかぶっているのかもしれない。体と両足の外側などに白い絵具をパレットナイフで塗って、その上から子供の輪郭を強く太い線で描いている。パレットナイフで描いた白色がきれいだ。また白い色の下に透けてみえる青い色が効果的で、山本の色彩の巧さが感じられる。一見地味な色彩の絵だが、見飽きない作品だ。
 山本は自分の子どもが生まれる前からしばしば子どもの絵を描いていたが、この年山本の娘の湘ちゃんは5歳、すると娘を描いたのかもしれない。
 6月26日から1週間、東京渋谷のアートギャラリー道玄坂山本弘展を予定している。割合に大きな画廊なので、久しぶりに50号の大きな作品を何点か並べるつもり。そのほか20号、30号の見ごたえのある作品も出せるだろう。渋谷マークシティのすぐ近くになる。渋谷駅から数分なのでぜひ見に来ていただきたい。