ギャラリー川船の鎌田紀子展に興奮した

 東京京橋のギャラリー川船で鎌田紀子展が開かれている(11月22日まで)。鎌田は1971年、青森県生まれ。1993年に岩手大学教育学部特設美術科を卒業し、翌年同大学教育学部専攻科を修了している。今までほとんど東北を中心に活動してきて、都内では初個展となる。







 鎌田は布や紙を使って人形のような立体作品や、レリーフ状の作品を作っている。細い身体にギョロ眼の一見気持ち悪いような表情の顔がついている。口の中には乱杭歯も見られる。大きなものは2メートルを超えるだろうか。頭部がごろっと床に転がされている。
 普通に考えればこれらは気持ち悪いものなのかもしれないが、これが見ていて楽しいのだ。それはなぜだろう。おそらく鎌田が気持ち悪いものを作って脅かしてやろうなどとは考えないで、楽しんで作っているからではないか。そう考えたとき、脅かしてやろうと思うのは、見る者へのある種の媚びなのではないかと気がついた。鎌谷は媚びがないのだ。楽しく淡々と作っている。では楽しく淡々と作ればすぐれた作品が産まれるのかと言えば、それは無理だろう。
 情報が少ないので、何が鎌田にこれらの作品を作らせたのかよく分からない。初めて見たのにただ魅せられたのだ。現在言えることは、鎌田のこれらの作品がきわめて優れたものだということだ。画廊の床に置かれた作品や天井から吊り下げられた作品、壁に掛けられているレリーフ状の作品を見て回りながら私はひとり興奮していた。画廊回りをしていると、こんな思い掛けない才能に出会うことがあるのだ。
 壁の一面には小さな作品が並んでいる。襖の取っ手(何ていう名前だろう)の内側に鎌田が絵を描いている。1点1,080円だという。私も一ついただいてきた。
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鎌田紀子展
2014年11月10日(月)−11月22日(土)
11:00−19:00(日曜休廊)
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ギャラリー川船
東京都中央区京橋3-3-4フジビルB1
電話03-3245-8600
http://www.kawafune.jp/