やまだ紫の『樹のうえで猫がみている』(筑摩書房)を読む。詩とイラストをそれぞれ一つずつ、見開き2ページに配置している。全部で43篇、94ページ。往復の通勤で2度も読んでしまった。
その詩「視線」とイラスト数点を紹介する。
かがみ込んで
カーペットのゴミを つまみとっている
洗いあがった白いシャツの衿を陽に透かし
汚れはとれたろうかと みている
本当は カーペットのゴミも
シャツの衿もみていない
そんな事をする自分をみていて
いきなり振り返り 男の視線をたぐり
(日暮れたら抱いてよ)
そう言っている
イラストが達成した高さに対して、詩は一歩を譲っている。これだけ性格の違う猫を描き分けている。
しかし作家はマンガやイラストが主体のように思われるから、それでいいのじゃないか。一歩を譲っていると書いたが、都会的な洗練された詩であることに間違いはない。
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